第十三回東方SSこんぺ(アメリカ)

FREEDOM

2014/03/09 23:37:35
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 始まりは十七歳の夏だった。
 いつも通りの会話。そこに潜んだ小さな熱が、彼女の主張だったのだろう。
 あのときは全く気が付かなかったけれど。

――私も、もう二十歳になった。

 あれから三年が経つというのに、思い出すのは彼女のことばかり。
 あの、夏の事ばかり。
 蝉がうるさく鳴いていた。
 馬鹿みたいに晴れた青い空。
 二人はいつものように並んで、縁側に座っていた。

「十七になったんだ」

 魔理沙がそう言ったそのとき、霊夢も、自分が十七歳になったことを実感した。

「そうなんだ」
「ああ。もう、十七歳だ」

 霊夢は自分の歳を知らない。けれど、目の前にいる少女と大体同じだと思ったから、彼女が歳を取った時に自分も同じ歳になると決めた。
 夏から秋頃にかけて、魔理沙はふとした会話の中で自分の歳を口にしたから、きっと誕生日は初夏なのだろう。だから、霊夢は盛夏に歳を取る。
 それは、きっと嬉しいことなのだと思った。
 霊夢と魔理沙は二人して笑う。

「なんだか、半端な気がするね。十七かぁ……」

 漠然と霊夢は呟いた。
 十五なら望月で、十六なら十六夜だ。十七は、少し欠け過ぎた気がする。背伸びした子供みたいに、気恥ずかしい気分だった。

――霖之助さんなら、何と言うだろう。

 考えてもうまくいかない気がした。あの変わり者の道具屋の頭の中なんて分かりたくもない。
 今度会った時に聞いてみればいいことだ。

「霖之助さんは何て?」

 魔理沙が驚いたように振り向いた。

「なんで、あいつの名前が?」
「だって、プレゼントを貰ったりしていたじゃない。八卦炉とか」
「そんな昔の話をされてもなぁ」
「じゃ、今年は何も無いのね」

 それは残念だ、と霊夢は肩を落とす。
 魔理沙が誕生プレゼントを貰っていたのなら、便乗して自分もと思ったのに……。
 沈黙の間に、汗が一筋肌を流れた。
 最近一向に暑くなるばかりで、まだまだ今日も暑い。
 昨日も暑かった。明日も、きっと暑いだろう。
 歳を取っても変わらない。それは、何となく嬉しいことだった。

「……旅に出ようって」

 魔理沙がぽつりと漏らす。

「え? なあに?」
「旅行しようって思ってるんだ。香霖には、それに協力してもらってる」

 それが、ようやっと誕生日プレゼントの話だと気が付いて、霊夢は想像する。
 空を見上げた。

「へえ。いいね、旅行……」

 博麗神社からは、幻想郷を一望できる。人里、魔法の森、妖怪の山……。瞼の裏に光景が浮かぶ。夏は色彩が鮮やかで、特に目に楽しい。

――どこか出歩くなら、今日みたいに晴れた日が良い。

「うん」

 ひとつ頷くと、霊夢は暑さにへばっていた体をしゃんとさせて、立ち上がった。
 不思議そうにした魔理沙に笑顔を向ける。

「それじゃあ、どこへ行きましょうか?」
「おいおい。別に今すぐ行こうってんじゃないぜ」
「今日は旅行日和だわ」

 青々した空は、抜けるような広がりをどこまでも見せている。
 どこまでも、どこまでも飛んで行けそうだ。
 魔理沙も立ち上がって霊夢の横に並んだ。

「しょうがないな」
「ねえ。今日はどこまでも飛んで行けそうだと思わない?」
「さて」

 魔理沙の目がずうっと向こうの空を見据える。その横顔を、霊夢は見た。
 風が吹き、魔理沙の金色の髪がなびく。

「いけるだろうか」
「いけるわよ」
「霊夢が言うんなら、間違いない」

――きっとそのとき、魔理沙には本当に“向こう側”が見えていたのだろう。

 遠くの空を見たまま、ニヤッと笑ったのだ。
 霊夢は後になってから、そう思う。

「海の向こうまで、行けるかな」

 そのときの霊夢は、魔理沙が突然そう言い出して驚いた。

「何言ってるの」
「例えばの話さ」
「……幻想郷に海なんてないじゃん。月にはあったけど」
「ああ、それも良いな。辿り着いたら、旗を立てよう。星がきれいなやつ」

 魔理沙はくるりと手首を返した。ポン、とまぬけな音を立てて魔法の箒が現れる。
 霊夢は離れるように地面を蹴った。
 逸る胸を押さえ、二人揃って飛び出す。
 たちまちに一面の青空と夏の日差しが包み込んだ。
 高く飛び上がってから見下ろせば、緑濃い幻想郷の景色が手の届きそうにして誘っている。
 霊夢は横に並ぶ魔理沙に訪ねる。

「どこへ行く?」

 珍しく魔理沙は肩をすくめて、任せるよ、と答えた。

「涼しいところか、もしくは暑いところがいいわね」

 行き先はどこでも良い。霊夢は思う。気の合う友人が居れば良い。
 二人並んで夏の空を飛ぶ。
 この後、霊夢は魔理沙の家に行き着いた。そこで、他愛のない時間を過ごした。
 十七歳になったことを祝って二人だけのささやかなパーティと、霊夢は珍しく神社には帰らずに魔理沙の家に泊まって夜を過ごした。
 霊夢がひとつ失敗したと思ったのは、うっかり自分の年齢について魔理沙に語ってしまったことだ。
 歳を一緒に合わせていたことが魔理沙は大層気に入った様子で、終始からかわれて気恥ずかしい思いをする羽目になった。

――もう金輪際、誕生日など祝ってやるものか!

「ようし。じゃあ魔理沙さんから、可愛い霊夢に誕生日プレゼントをやろう」
「フン。えらそうにしちゃって……」
「私よりも後に歳を取るんだから、私のが先輩だろう?」

 わはは、と笑って言う。そして香を取り出すと、魔理沙はそれを焚き始める。
 暗く、蒸し暑い魔理沙の部屋に甘い匂いが漂い始めた。

「……魔法の香だ。朝までぐっすり、良い夢が見られる。波乱万丈、唯我独尊、焼肉定食、なんでもござれだ。……魔法使いらしいプレゼントだろ?」

 そうやって自慢げに笑顔を見せると、魔理沙は霊夢が寝ているベッドに飛び込んできた。
 しばらくきゃあきゃあと二人して騒いでいたが、じきに疲れて、一緒に寝転んだ。
 顔を並べて、笑う。

「じゃあ、おやすみ。霊夢」
「うん。魔理沙……」

――それが、魔理沙と過ごした最後の日になった。

 三年が経った。
 霊夢が二十歳になっても、やっぱり魔理沙の行方は知れなかった。





          *





 畳の上で目を覚ますと、辺りには橙色の光が落ちていた。
 昼寝のつもりが大分長く寝てしまっていたらしい。

「……魔理沙」

 霊夢はそっと呟いた。
 十七歳になった、魔理沙。
 たとえ夢でも、久しぶりに彼女の笑顔が見られたことが嬉しかった。少しでも留めておきたくって、ぎゅっと胸を掻き抱く。
 魔理沙は、もうとっくに亡くなったことになっている。行方不明、という扱いだ。
 今では語る者もいない。
 ただ、魔理沙が霊夢と別れてから消えるまでの夏のひと月、彼女は旅行の準備をしていた。
 その間に出会った人妖は魔理沙がどこへ行ったのか覚えている。
 魔理沙が海の向こうに憧れたのを知っている。
 そして、無事に辿り着いたら帰って来ないだろうことも。
 辿り着けなくても、帰って来ないだろうことも。
 霊夢は夕暮れの部屋の中を歩き、引き出しを開けた。
 空っぽの中に、二つだけ。黒白の三角帽子と、それに並んで封筒がひとつ。
 霊夢は封筒を取り出した。そこには、手紙が一枚入っている。魔理沙が旅に出るにあたって、霊夢に残していったものだ。
 そこには、たった一文こう書かれている。



 『FREEDOM FAR ALL』――自由は全部向こう側。



「魔理沙……」

 どうして魔理沙が“向こう側”に行ってしまったのか。
 霊夢にはわからない。





          *





 十七歳になった、夏。
 けれど霊夢が考えていた通り、暑さはずっと何も変わらないものだった。
 窓という窓は開かれ、室内にはなまぬるいサイダーみたいな空気が入ってくる。
 時折、風が古い紙に触れてカサカサと鳴った。耳を澄ませば遠く、ミィーミィーと飽きもせず蝉が鳴いている。

「……あー、暇」
「……」
「暇だわ。霖之助さん」

 霊夢はだらけきって、ただ汗を流すだけの生き物に成り果てていた。
 風の当たる窓際に座り、あとはただ、暇、暇、と呟くばかり。

「……そう思うなら、出かけたらどうだ? ここ以外で」

 全く相手にする気がない、ぶっきらぼうな声が応えた。
 狭苦しい店内。霖之助は椅子に座って本を読んでいる。眼鏡越しにじっと本に目を通しては、頁をめくり。またじっとしている。
 霊夢はぼんやりとそれを眺めた。

「……なんだい」
「なんにもない」
「ここは道具屋だ。何でも無い、と言って欲しいね」
「はいはい」

 霊夢は霖之助の声が嫌いではなかった。彼の落ち着いた声を聞くと、少し愉快な気分になる。
 腰掛けていた窓枠から降りて、霊夢は言う。

「お茶を淹れてくる」
「……あ、すまない。お茶の葉を切らしてる」

 台所へ行こうと横切る途中、霖之助と目が合った。思わずムッとなる。

「だらしないわねぇ。……魔理沙は? 来てないの?」
「ああ。あまり、来ていないな」
「そうなの? 神社にも来てないんだけど……」

 魔理沙とは誕生日を祝った日以来会っていなかった。
 香霖堂に置いてあるお茶は、大抵霖之助が客用に買ったものか、魔理沙用に買ったものか、魔理沙が持参したものだ。
 霊夢は普段は客用のものを飲む。それが無く、あまつさえ魔理沙用すら無いのでは絶望的だ。

「しょうがないわね」

 暇潰しの手段を失って、霊夢は肩を落とす。
 ふと、霖之助の読んでいる本が見えた。

「ねえ。何読んでいるの? いつものより、綺麗ね、それ」

 色刷りで、異国らしい風景で紙面が埋まった本だった。
 座る霖之助の背中に回り込んで、霊夢は開かれた頁を見る。文章はよく理解出来ない。しかし、青い空に白い建物、道行きに原色で彩られたたくさんの物や人が散りばめられている写真を見ると、ワクワクした。
 まるで、暑くて焦げ付きそうな風景だった。

「これは旅行のための本だよ。外の世界のね」

 霖之助が頁をめくると、大きな写真。
 全身が青白く、冠を抱いた女性の立ち姿が写っていた。

「この人、本を抱えているわ。霖之助さんみたい」
「自由の女神だね。彼女が持っているのは……」
「あ!」

 霖之助が何か語ろうとしたようだが、思いついて霊夢は声を上げた。

「そういえば魔理沙、旅行をするって言っていたわ」
「……君にも話していたのか。いや、当然か」
「あいつ、どこへ行く気なのかしら。霖之助さんは、知ってる?」
「いや、それなら……」

 と、霖之助は突然両耳をぱたりと手で閉じた。霊夢が不思議に思う間も無く、大声が室内に飛び込んで弾ける。

「こーんにちは――! 霊夢!」

 キィン、と部屋の空気が割れた気がした。
 霊夢が頭痛を堪えて振り向けば、窓の外、夏の日差しに照らされて、溌剌とした笑顔の少女が立っている。
 早苗……と呼ぶ間もなく足音は駆けて、香霖堂の扉が開いてドアベルが鳴る。
 カラン、カラン。

「お待たせしました! 霊夢……」
「うるさいっつーの!」

 額目がけてチョップを一発。
 その突っ込みで満足したのか、早苗はえへへ、と照れたように笑った。

「今日も暑いですねえ。最近、ご飯とかどうしてますー?」
「素麺と酢の物。なんで?」
「いやあ、暑いじゃないですかーでも、手抜きばかりだと飽きちゃうでしょ? ほら……だから、じゃあ~ん!」

 肩に下げた鞄から、早苗が包みを取り出す。

「水ようかんを作ってみたの。一緒に食べましょう! あ、もちろん香霖堂さんも……確かお茶切らしてましたよねー? 私、持ってきましたから置いていきますね」

 そう言ってパタパタと奥の間へ早苗は消えた。
 霊夢は霖之助の顔を見る。暑さを思い出したように、その頬を汗が流れていった。

「……随分、仲が良さそうじゃない?」
「……それは君たちだろ。彼女は、最近世話してやっただけだよ。魔理沙のことで少し」
「魔理沙の?」

――おかしいと思った。何かが物足りなくって。

 霊夢は床に視線を落とす。
 霊夢の周りで起こる騒がしいことの中心には、魔理沙がいた。いつだってそうだ。
 それなのに、最近は顔を見ていない。
 家に泊まりに行ったあれ以来、ない。
 やけに霊夢は魔理沙のことが頭に浮かぶと思ったら、そういうことだった。

――いつもいるやつが、いない。

 今度会ったときに文句を言ってやらなくちゃ、霊夢はそう思った。人の頭の中に勝手に出てきて……。
 まただ。気がつけば、また魔理沙のことを考えている。
 何か別のことを考えることにして、霊夢は水ようかんを楽しみにすることにした。
 彼女のことを考えるのは、それからでも、遅くない。





          *





「穴ですよ、穴! 霊夢は知ってました?」
「馬鹿ね。そんなの天狗たちの嘘に決まってるじゃない」
「もーっ夢がないなあ!」

 早苗が作ったという水ようかんは美味しかった。歯ざわりは市販のものに劣るが、素朴な味わいがあって、何より山の清流で冷やされて夏の涼を蓄えていた。
 香霖堂の店内、お茶と合わせて三人がめいめい楽しんでいる。
 早苗と霊夢が騒々しくする中、霖之助は静かに口を開いた。

「一概に嘘とも言えないよ。もし幻想郷から外の世界に出られる穴があるとすれば、僕はそれが妖怪の山にあると思っている。きっと天狗たちの管理下だろう」
「そうかなあ。神社もたまに物が落ちているし、穴なんてあってないようなもんじゃないの?」
「それは違いますよ。入るんじゃなく、出るんです!」

 早苗が騒いでいるのは、“外の世界に通じる穴がある”という噂話だった。
 しかし霊夢が聞いてみれば、それは何の根拠もない、出所も分からない、単なる茶飲み話だ。

「もー。霊夢は行って見たくないんですか? 外の世界」
「やだよ。何か面倒だし……」
「それに、博麗の巫女が幻想郷からいなくなってしまっては困る」

 ずずぅ、と霊夢と霖之助は揃ってお茶をすすった。早苗だけが頬を膨らませて、もくもくと水ようかんを口にする。

「……はあー。私は行ってみたいんですけどねー」
「あんた、外から来たんじゃなかったっけ。その気になれば出られるんじゃない」

 霊夢は当然のことを口にしたつもりだった。しかし、目が合った途端、早苗は寂しそうにした。

「無理ですよ。私は幻想郷を捨てられません。精一杯のわがままを聞いてもらっているんですもん。それは……霊夢だって一緒でしょ?」
「さあ……。私はここ以外知らないし、神社の他住むつもりもないし」
「私たちは籠の中の鳥ですね。可愛らしく、さえずっているほかないんだわ」

 籠の中の鳥。
 それはそれで幸せなのではないだろうか。霊夢は考える。
 そもそも幻想郷だって外と比べれば籠の中なのだから。加えて、霊夢は博麗の巫女として幻想郷に縛られている以上、確かにその鳥なのかもしれないが。

「別に不満はないけどね」
「私だって、ありませんよ」
「僕だってないさ」

 もしもそんなもの抱えている奴がいるとしたら、きっと遠くばかり見て、足元が見えていない。





          *





 夜、博麗神社の縁側。
 霊夢はそこにひとり座って、もう一刻ほど星空を眺めていた。

――どうして魔理沙は来ないんだろう。

 そんなことを考えていた。
 何か怒らせることをしただろうか。そんなことはないはずだった。魔理沙なら、嫌なことは口に出して言う。霊夢が相手なら尚更だ。
 ならば、どうしてもうひと月近く顔を見せに来ないのか。
 旅行の準備で忙しいのか。それはありそうだ。
 けれど、いつもならそんな時、何がどうしたと逐一準備の状況を霊夢に話しては面白がるのが魔理沙の常だ。それとも、もう旅に出てしまったのだろうか?
 ……霊夢は溜め息を吐く。

――私、寂しがっている。

 今度魔理沙に会ったら、謝ってみようと思った。
 なんとなく、そうした方が良いような気がしたのだ。
 しかし、やはり、魔理沙が霊夢の元を訪れることはなかった。





          *





 もう、あれから何度の夜を過ごしたのか分からない。
 夏もじきに終わろうとしていた。
 それなのに、今晩は最後の名残のように、蒸し暑い夜だ。

「……あつい」

 ついに耐えかねて、霊夢は布団の上で呟いた。寝間着は流した汗でぐっしょりと肌に貼り付いている。
 溜め息を吐き、のそりと起き上がった。暗い部屋の中から縁側の方に出る。なまぬるい風だったが、それでも多少の火照りを冷ましてくれる。
 半分寝ぼけたまま厠で用を足し、水を飲んだ頃には多少すっきりしていた。洗場で寝間着を脱いで籠に放り込み、汗を拭って、裸のままぺたぺた歩いて部屋に戻って来る。
 新しい寝間着に着替えていると、ふと、それが目に入った。

――安眠香。

 魔理沙の家に泊まったときに、彼女が焚いてくれたものだ。帰り際、プレゼントにと貰っていたのだった。
 試しに一度使ったきりで、量は大分残っている。これ幸いと、使うことにした。今日の様な寝苦しい夜にこそ使われて然るべきだろう。
 うっすらと甘いような香の匂いが、部屋に漂い始めた。
 霊夢は布団に横になり、すっと目を閉じる。

――夏の夜の夢。

 霊夢が魔理沙のことを考えていたのか。
 香の匂いが記憶を呼び覚ましたのか。
 それは分からないが、ともかく霊夢はあの、夏の夜のことを思い出していた。
 魔理沙と過ごした夜のことだ。

――あの日も、寝苦しい夜だった。

 霊夢は思い出す。
 魔理沙の家の光景。十七歳になった、あどけないけれど、少し大人びてきた彼女の顔。
 魔理沙の家は相変わらずひどい散らかりようだった。
 二人で食事をしようにも、まずは座るために片付けをするといった有り様だ。

――きっとあのときにはもう、魔理沙は旅行へ出るための準備をしていたのだ。

 幸いにしてベッドは平気だったから、霊夢はそこへ寝転がっていた。
 暗い部屋の中で、足をつまづかせそうになりながら歩く魔理沙の背中を見ていた。
 魔理沙はどこかから安眠香を出してきて焚き始める。

「これで良い夢が見られる。魔法使いらしいプレゼントだろ?」

 霊夢が見慣れた笑顔を見せて、二人して笑った。
 二人で一緒になってベッドに寝転んだ。

「おやすみ。霊夢」

 香の甘い匂いが部屋に満ち、目を閉じた二人の鼻をそっとくすぐった。

――あのとき、私は何と言ったのだっけ?

「どうして、旅行に出ようと思ったの?」
「……そうだなあ」

 声だけのやり取りは、眠いのか、いつもより低く聞こえた。
 呟くような声で二人は会話をする。

「自由の国があるらしいんだ」

 魔理沙は言った。

「私は……それが欲しいと思ったんだ」
「ぷっ。王様にでもなるつもり?」
「違うって……国じゃない方」

 少しベッドが揺れた。魔理沙の声が近くなる。霊夢の方に顔を向けたのだろう。
 霊夢は目をつむったまま聞いていた。

「自由?」
「そうだ。私は、自由が、欲しい」
「変なの。そんなの、どこにも無いわ……」

 霊夢は色んな物に縛られている。けれど、それを不自由だと思ったことはない。
 だったら自由かと言ったら、そんなこともない。
 霊夢は人間としてのルールを守るし、博麗の巫女としてのルールを守る。たまに約束は破るけれど、約束を破られてもそれで相手を殺したりはしない。
 きっと、自由っていうのは束縛があるから生まれる考え方だ。
 魔理沙の言っている自由は、憧れ、だ。

「私は、欲しいんだ……」
「……」
「ずっと、追いかけて、……」
「魔理沙?」

 すぐに、寝息が隣から聞こえてきた。どうやら魔理沙は寝入ったらしい。安眠香が効いてきたのだろうか。霊夢も、おおきく一つあくびをした。

「……がんばってね」

――私は、そんなこと言うべきじゃなかった。

 自由を求める友人を、束縛したくないと思ったのだった。





          *





 久しぶりに博麗神社に来客があった。
 日課の境内の掃除をしていると、鳥居の向こうから階段を上がってくる者があった。
 参拝客ではなく、早苗であった。

「どうしたの? わざわざ階段から来るなんて……」

 霊夢は尋ねる。早苗は目の前に来るまで口を結んでいた。

「早苗?」
「霊夢。魔理沙に何を言ったの」
「えっ……」
「魔理沙はどうしてあんなことをしたの!?」

 霊夢は気が付いた。
 随分と、早苗は疲れた顔をしていた。それで、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「何かあったの……」

 分かり切っている質問。霊夢は、しばらく見ていない、友人の顔を思い出す。

「魔理沙が……」

 早苗の声がゆれていた。

「魔理沙が、妖怪の山へ侵攻したの……。たぶん、天狗の領域のかなり奥の方まで進んだと思う。私は、なんとか、止めようとしたんだけど……」

 魔理沙は、行方不明ということになった。
 少なくとも人間たちや妖怪の間では、それは間違いのない事実であった。
 幾百を数える天狗たちに、たったひとりで少女が戦争を仕掛けて、どうなったのか。知る由もない。
 早苗は魔理沙と天狗の衝突を止めようと飛び出したらしい。けれど、山の巫女である彼女は山の社会である天狗に捕縛された。神奈子が迎えに来るまでの数日間の軟禁。

「……その間に、もう何も無くなってた」

 早苗は力なく呟く。

「どういうこと?」
「魔理沙はいなかったし、山に入った事実も無かった事にされていたの……。もしかしたら、天狗たちに捕まって、魔理沙……」
「馬鹿。殺したって死なないわよ。あいつ」

 トン、と霊夢は肩に手を置いてやる。早苗は顔を上げ、その上に手を重ねた。

「そう、そうよね」

 この夏、早苗の元には魔理沙がよく遊びに来ていたのだという。
 目的は、外の世界の話を聞くことだった。それも“自由の国”についての詳しい話を聞きたがった。

「だからね、霊夢。きっと魔理沙は外の世界に行ったのよ」

 早苗はそう言い切った。
 昔、外の世界から来た少女は。
 そして今もう帰ることは出来ないといった少女は。
 何かを祈るようにしてそう言った。
 けれど、霊夢にはどうしてもそうは思えなかった。





          *





 妖怪の山を訪れるのは久しぶりだった。
 博麗神社の建つ山と様相が違う樹木が見受けられるのが物珍しいほどだ。
 川沿いに山を登り、裾野の森を抜けて本格的に傾斜になる高さに差し掛かる。
 巫女服を翻し、緑濃く、遠くまで見渡せない山の中、川面の反射に照らされながら空を飛ぶ。
 そして、霊夢はそれを見逃さなかった。
 突如急降下、川縁の草むらへと着地する。
 胸がドキドキした。

――この感覚は知っている。

 霊夢が巫女として人里から妖怪退治を頼まれたときなどにままあることだ。
 そのときは大抵、こう言われる。「里の誰某が帰ってこない」。そのとき、霊夢は思うのだ。

――もう生きていないだろう。

 そう、この感覚だ……。
 霊夢はその場にしゃがみ込むと、だくだくと流れる山の水流に手を伸ばした。そして、端に引っかかっていた物を拾い上げる。
 それは水を吸って、ずっしりと重たい。

「……魔理沙」

 普通の魔法使いを自称する彼女がいつも被っている、三角帽子。
 何故こんなところに流されていたのかと、考えるまでもない。早苗の言っていたことが事実であったと、そういうことだろう。

「……魔理沙」

 胸に抱くと、ぎゅうっと雫が溢れて霊夢の服を濡らした。それはひどく冷たくて、悲しくて、一層強く抱いたけれど熱は戻らなかった。
 不意に声が響く。

「おい! 博麗の巫女!」

 見上げれば、天狗がひとり空から霊夢を見下ろしていた。哨戒の天狗だろう。

「これより先は天狗の領地だ。如何様で参られた!」

 霊夢は溜め息をひとつ吐くと、翻って背中を向けた。

「……別に。ちょっと涼みに来ただけだわ。もう、帰るから」
「貴様」

 見えない位置にいる天狗が、怒気を膨らませたのが分かる。

「まさか、誰か人間を探しに来た訳ではあるまいな。それとも我々に何か用事か」
「いいえ。人間が山に入って、たとえ行方不明になったとしても。それは、自業自得よ」

 霊夢は地を蹴って飛び上がると、その場を後にした。背中にじっと視線が張り付いていたが、神社に帰り着く頃にはそれも消えた。
 ただひとつ、帽子だけを抱えて、霊夢は神社の縁側の前に立つ。
 ここで隣に座っていた少女は、もう、どこかへ行ってしまった。
 霊夢は縁側に腰を下ろし、隣に帽子を置く。ふと、中に何か入っているのに気が付いた。
 手紙だ。
 封筒に入っていて、幸い中の手紙は読めないほどには濡れていなかった。
 しかし、たとえ読めなくっても変わらなかったかもしれない。そこには、たった一文だけ、こう書かれていた。



 『FREEDOM FAR ALL』――自由は全部“向こう側”。



 霊夢には、読めない言語だった。これは、後で霖之助に聞いて知った訳文だ。
 ただそのときは、魔理沙が最後に残した言葉が理解出来ないことが、ただ悲しかった。

「魔理沙……」

 ふと、一枚の葉っぱが霊夢の足元に落ちる。
 山を抜けてくるときに髪に引っかかったのだろう。
 まだ熟し切っていない若い葉。少しだけ染められたように金色になって、落葉したのだ。
 もうじき、夏が、終わる。



 それから、三年の月日が流れた。





          *





 暦を見ると、夏になっていた。
 霊夢はぼんやり部屋でお茶を飲んでいて、 先にあった異変のことについて考えていたから、冬のような気分であった。
 妖怪連中と騒いだ宴会はいつも通りで、博麗神社は何年経っても変わらない。
 人間ひとりがいないくらいでは、何も変わらない。
 それは、霊夢自身も同じであった。
 気を取り直して霊夢は箒を持って境内に出ると、いつもの様に掃除を始める。
 夏の日差しに汗をかきながら、ザック、ザックと乾いた音を石畳が立てる。
 霊夢は二十歳になっていた。
 何の感慨も無い。昔は、年をとることに胸が踊るようだったというのに。

――たとえば、あの、十七歳の夏には。

 霊夢はふっと手を止めて、辺りを見回す。
 白い光、鮮やかな緑、熱を孕む石や木肌、見上げる、青い空。

「なんにも変わらない」

 呟きを打ち消すように、境内に声が響いた。

「霊夢ー!」

 早苗が社の側に立っていた。
 箒をぞんざいに持ち替えると、霊夢は汗を拭って歩き出す。

――休憩ね。

 夏に早苗が作る水ようかんは、毎年の風物詩になりつつあって、必ず霊夢の元には届けられた。
 そしてお茶を淹れて、二人して食べる。
 今日持って来られた水ようかんは緑がかっていて、どうやら抹茶風味に仕上げた様だった。

「ん。またちょっと味変えた?」

 一口食べて霊夢は言った。甘みの配分が違う気がしたのだ。

「ああーっやっぱり分かります? いつもより砂糖を少なくして、ちょっと大人風味にしたんです」

 えへへ、と笑って言う早苗の顔を見て、霊夢はピンとくる。

「……あんたの良人の好みに合わせたんでしょ」
「えへへへー」
「はいはい。幸せそうで結構。ケッコー」

 ぶうたれつつ早苗を見る。綺麗になったな、と霊夢は思う。子供みたいな自分とは大違いだ。
 思わずため息が出た。

「そんなら、愛しい人の所に持って行けばいいでしょーよ。こっちに来なくってさ」
「うぅん。霊夢こそーどうなんです? 里の男子に声をかけられていたとか」
「あれは……」

 他愛ない会話をしつつ、本当は気付いている。早苗は霊夢を慮って神社を訪れてくれているのだ。
 まるで魔理沙がいないところを埋めるように。そして、そうすることで霊夢と魔理沙の繋がりを保とうとしている。
 早苗は時折、思い出したように口にした。

「魔理沙は今頃、何してるんでしょうね」
「さあね」

 公には、行方不明となっている魔理沙。
 その存在はもう、たった二人の少女の間でだけまるで噂話のように語られるのみだ。
ただ、ひっそりと、胸の内で眠るように。





          *





 ブウゥン、ブウゥン、低いうなり声を立てて扇風機が回っている。
 霖之助はその前に胡座をかいて、時折風に飛ばされる頁に悪戦苦闘していた。
 しかめ面の霖之助と目が合って、霊夢はあきれてしまう。

「機械を止めるか、本をやめるかすれば良いのに」
「なに。悩める文明人という奴だよ。それにしても読みにくいがね。……うん。ひょっとしたら、外の世界ではもう紙の本は読まないのかもしれない」

 霖之助は諦めるように本を畳の上に置き、ちゃぶ台に向かって座り直す。
 霊夢は運んで来た皿や器をその前に並べた。

「今日の夕飯はなんだろう」
「素麺と、酢の物よ」
「霊夢。それは昨日も聞いた気がする」
「一昨日にもあったわね」

 箸や小鉢をやり取りし、霊夢も席に着く。

「いいじゃない。楽なんだもの。不味くはないし」
「それについては同意する」

 そろって、いただきます、の挨拶をしてめいめい食事に箸を伸ばす。会話は特にない。
 霖之助は早苗と違って、魔理沙のことを積極的に口にしようとしなかった。
 三年前、霊夢が魔理沙の帽子だけを見つけたのは話していたし、そもそも魔理沙が企てていた計画に霖之助は協力していたのだ。
 彼の中ではもうとっくに結論の着いていることなのかもしれなかった。

「いつもと出汁が違うね」

 ぽつりと霖之助は呟いた。霊夢は少し、微笑んでみせる。

「うん。ちょっと、変えてみたの」
「これくらいのが僕の好みだ」
「ふーん。そうなの」

 霊夢は、自分が気まぐれに香霖堂で過ごす時間が増えていることに気が付いていた。
 まるで、魔理沙の名残を探すように。

「霖之助さん。私、二十歳になったの」
「そうなのか? そういえば、霊夢の年齢を聞いたのは初めてだ」
「魔理沙は、十七のときにいなくなったわ」
「……ああ。そうだな」

 それきり、沈黙。
 別に霊夢も何かを期待したわけではない。
 ただ、霖之助にとって、もう魔理沙は会話にも上らない程度になっているのだと、それだけを感じた。
 二人で瑣末な食事を済ませる頃には、もう夏の長い日も沈んで夜が訪れていた。
 霊夢は髪をまとめるリボンをきゅっと巻きなおし、別れの挨拶をする。

「それじゃ。霖之助さん。私帰るから……」

 霖之助は、相変わらず扇風機の前で本と格闘していた。それを横目に部屋を出る。

「霊夢」

 声がして、立ち止まった。

「夜の一人歩きは物騒だ」

 霖之助は霊夢の方を見なかった。

「泊まっていっても構わないよ。霊夢」
「……誰に言ってるの」

 霊夢は大きく踏み出して、そのまま香霖堂を出る。空に飛び上がると、神社への帰路に着いた。

――なんにも、変わらない。

 夏の幻想郷の夜空は変わらない。暑い空気も、視界を流れていく星も。霊夢の、胸の鼓動だって変わっていない。

――ただ、魔理沙だけがいない。

 たったそれだけのことなのに、どこへも行くことが出来ない。
 霊夢は神社へ帰ると、暗い部屋の中でひとり泣いた。訳も分からないまま、泣いた。涙をぐずぐずと流して泣いた。
 友人と一緒に歳をとっていた少女は。
 友人を失って、十七歳のまま、進むことが出来ないままだった。





          *





 知られていないことだが、博麗神社は“ここ”と“あっち”にある。幻想郷にある博麗神社と、外の世界にある博麗神社。
 それは二重写しになって重なっているとも、結界によって繋がっているとも言われている。
 重要なのは、外の世界と接点がある、ということだ。
 霊夢が見つけたのは、それだった。
 長方形をした封筒。
 何かを誇示するように、赤/青/白/と封筒の縁がぐるりと一周ペイントされている。
 手紙だった。
 それがあったのは、博麗神社の神棚の上。奉納されるように置かれていた。
 見つけたのは偶然だった。
 夏の暑さに目を覚ました霊夢は、妙に胸騒ぎを覚えて部屋の中のあちこちを覗き込んでみたのだ。
 三年前の夏、魔理沙の帽子を見つけたときと同じだった。霊夢の鼓動は、ドキドキと高鳴っていた。

――エアメール、と本で読んだ。

 カラフルな封筒は写真で見覚えがある。
 けれどそれがどのような意味を持つものかは、覚えていなかった。ただ間違いないことがある。

――これは、手紙だ。

 霊夢は恐る恐る、手に持った封筒をひっくり返してみる。表は白紙だった。裏は……。

 『TO 博麗霊夢』

 下手くそな、やけに気取った文字が、かっきりとしたインクで書かれていた。

――ああ、やっぱり。

 どうしようか考えて、霊夢は片手にしっかりと封筒を握ったまま箪笥を漁り、長らく使っていなかったハサミを見つけ出した。
 両手に物を持って、すっと、ちゃぶ台の前に座る。
 夏の暑さが、肌から沁みた。封筒は、霊夢の汗が染みて少しふやけていた。
 赤/青/白の封筒の端に、そっと刃物をあてがう。力を入れると、ぢょき、と耳障りな音が鳴って霊夢の心臓は跳ねた。ぢょき、ぢょき、と続いて切っていく。
 端まで終えたときには、すっかり疲れきっていた。
 封筒の中には一枚の手紙と一枚の写真が入っている。
 写真は、見覚えがあった。

「自由の女神……」

 自由。魔理沙が求め、そして旅立ったもの。
 魔理沙の憧れ。
 そして、手紙にはただ一言だけ。



 『FREEDOM FOR ALL』――私たちに自由を!



 霊夢は顔を上げた。
 部屋の外には、夏の青い空が広がっていた。
 あのときに感じた、どこまでもどこまでも、広がって見える空だった。
 きっと、“向こう側”まで繋がっている。
 昨日は暑い日だった。今日も、とても暑い。

――けれど、明日はどうだろう?

 初めて霊夢は、未来が変わる予感がした。
 この日、霊夢は二十歳になった。











思いついたのは、なぜかカップヌードルのCMでした

アラツキ
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http://www.studioentry.com/
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コメント



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1.7完熟オレンジ削除
FREEDOMと聞くと、自然と宇多田ヒカルの曲とアニメーションが浮かんできます。
魔理沙には自由が似合いますね。
2.7アメリカ探索者削除
霊夢の寂しさとこれからが、言葉にこめられているようでした。
3.10ジョニー沢渡削除
なんという青春
4.5削除
30kbの制限が無ければ、魔理沙が山に突入する攻防戦のシーンとかあったりしたのだろうか? そうした盛り上がりのシーンがあればもっと点数が高かったかも。
5.8烏口泣鳴削除
色色と想像の出来るお話で面白い。ただ天狗の山の辺りはあまり好みでなかった。
6.9がま口削除
まさに夏の青空の様に爽やかで、広々としていて、それでいてどこか切なさを感じる作品でした。
17歳は日本で言えば高校二年生。将来に漠然とした不安を感じつつも、それ以上に日々の高揚感が大きかった年頃です。
無鉄砲に思えても、あの時やっておけばよかった……なんて後悔するよりはこの時期に行動した方がいいですよね。
これからどんな『自由な』未来が待っているのか、二人の幸せを祈りたくなった物語でした。
7.7エーリング削除
子供を終えて、青年期に入った霊夢と魔理沙、上手く描かれていたと思います。それとなく匂わせている香霖と霊夢、魔理沙の関係なんかも気になる所です。最後のオチもきれいに決まっていると思いました。そもそも魔理沙が自由を求めた理由は気になりますが……それを描くと長編になってしまうのでしょうね。
8.6百円玉削除
夏の暑い空気感、うなじから背中へと通る汗に混じって、ジュブナイルの湿り気を感じさせるお話でした。ティーンじゃないですけどね、霊夢の心は17歳で止まったままとあって、そう思えました。 
作品全体に潜んでいる大きくゆったりとした時間の流れに、なにかとてつもない大事なものまで流されてしまいそうな不安が感じられて、読んでいて切なくなりました……。それだけに最後、魔理沙かららしき手紙に救われるようです。 
ジュブナイルとは少年期から青年期までの猶予期間。霊夢はきっと、モラトリアムを抜け出したのでしょう。
9.3みすゞ【5点満点】削除
タガタメが印象に残っています(笑) ともあれ良い感じの雰囲気でした。魔理沙が自由とか外の世界、アメリカに憧れているという設定も好みです。ただ何となくやりたいことはわかるんだけど、いきなり未来に飛んだり戻ったりという構成で読みにくさを感じました。
10.4がいすと削除
少女成長物語。
という軸へのニュアンスにギリギリアメリカが使われている感で、少しテーマ性という部分では押しが弱いなぁというのが正直なところでしょうか。
カップヌードル、イズ、ジャパニーズフード
11.3矮鶏花削除
何故、魔理沙は自由を渇望したのだろう? と思いました。それは霊夢が感じていたことかもしれませんし、この世界に住む人々も思うのかもしれません。そして「十七歳」という言葉。現実に住む「十七歳」に対しては、恐らくは人々が共有するだろう価値観を含め、様々なイメージが沸きますが、幻想郷に住む(原作では)年齢不詳の少女に対してだと、私には年齢だけではそこまでのイメージを持てません。
魔理沙の心情を思う霊夢の心情を捉えきれず、話に没入できなかったとも感じました。
12.5みく削除
ラストの手紙が唐突に感じました。手紙の存在をもっと匂わせて欲しかったというか。
早苗や霖之助がいい味を出していて、霊夢との会話は読んでいて良かったのに、オチに絡まなかったのも肩透かしをくらいました。
13.8deso削除
すごく良い雰囲気。
淡々とした文章が合ってます。
最後の一文がまた良いね。
14.7ナルスフ削除
魔理沙にぞっこんの霊夢かわかわ。
それにしても霊夢を置いてきぼる魔理沙とはなかなか珍しい気がしますね。色んな意味で。
不思議でよい雰囲気の作品でした。
15.5文鎮削除
魔理沙は自由の国で自由を掴んだのか…掴んでいて欲しいですね。
博麗の巫女も結界の出入りを管理をしていますが、魔理沙が霊夢に外へ出してくれるよう頼まなかったのは、断られるものと思っていたからでしょうか?
16.6あめの削除
淡々とした文章が、霊夢の空虚感を表しているようですごく良かったです。
少しいつの話なのかがわかりづらくなっている部分が気になりました。
終わり方は結構好きです。
17.5ito削除
読んでいてどこかもの悲しい話ですね。成長した早苗のエピソードと、17歳のままだと思う霊夢の対比が印象的。
ちょっとこの作品は私、感想を書きづらくて、多分その理由は、
魔理沙の手紙『FREEDOM FOR ALL』――私たちに自由を! の意味がつかみ切れていないからなんだろうなあ、と思います。
作中、魔理沙が自由を求める動機が説明されない理由を暫く考えてみて、
それは、魔理沙にも言葉で直接語ることができないからだ、とか、作者さんが読者に対して「魔理沙個人が求める自由」を押しつけるのではなく、読者それぞれが「自由という言葉自体のイメージ」を大切にしながら読むことができるようにしているからだ、
とか、そんな仮定をしながら、読み返してみたりしました。まあ、間違っているかもしれませんけど。
しかし、魔理沙・霊夢のような年頃の少女の「自由」に対して思う気持ちに同化することができず、結局、魔理沙からの手紙の意味が分からない、と言う結果に相成りました。
なんかよく分からない感想になりました。失礼。
18.10めるめるめるめ削除
霊夢の繊細な機微が愛らしくて、今回のコンペで一番好きな作品でした。
19.8このはずし削除
やはりアメリカといえば自由の国というフレーズが思い浮かびますよね。
そして自由に恋してそうなキャラといえばやはり魔理沙に思えます。
外の世界と手紙で通じるというのが、とてもロマンがあってよかったです。
20.6名前無し削除
取り急ぎ、点数のみで失礼します。
21.7K.M削除
自由に対する直球の渇望。やはりアメリカといえば自由ですか。……カップヌードル、確かに。