第十三回東方SSこんぺ(アメリカ)

不可欠のエチケットレース

2014/03/09 23:42:09
最終更新
サイズ
29.95KB
ページ数
1
閲覧数
73
評価数
20/20
POINT
133
Rate
1.50
 ―『ラベル』は想像力を働かせる事を妨げ、ウソを促進させる。また、一度つけられた『ラベル』のイメージを覆すことはとても難しい―
  byマンフレッド・クランクル

 ・メニュー

 1:幻想郷のクリスティーズ
 2:ムッシュエタンの集い
 3:アリス審判
 4:チェッカーズボード
 5:読者へのコナンドラム
 6:クインテッサ
 

 1:幻想郷のクリスティーズ

 つややかなゴールド、綺麗でだけれど大胆で活気のいい泡。
 香りはナッツ、バターと酵母が合わさってクロワッサン、それに柑橘バニラを中心とした豊かなフレーバー。
 必然舌に乗せた時のゴージャスな印象。アプリコットやグレープフルーツの甘味、それに添えられるチョコの質感は重たく力強い。
 良く熟した果実と暖かい気候から生まれた活力ある、そしてわかりやすいキャッチーなスパークリングワイン。『ロデレール・エステート』だろう。
 ウェルカム・ドリンクにしては少し味わいが豪快すぎるけれども。
 私、アリス・マーガトロイドとしては本家本元の『クリスタル』の方が相応しいと思う。
 今日が、アメリカ関連商品オンリーのオークションでなければ。

 紅魔館のホールは幻想郷では珍しい西洋のシャトー建築だけあって、オークション・イベントにはぴったりだった。
 きらびやかなシャンデリア、赤いカーペットに陶器のように真っ白なテーブルクロスがセレブレティ。
 メイド達は大勢の賓客を迎えるのにこなれていた。
 ウェルカムパーティーからまるで時間が経っていないかのように椅子が用意されオークション会場になる手際も良かった。
 札をあげて値段をあげていく様子は正座では格好がつかない。
 博識かつ公正なオークション管理者のパチュリー・ノーレッジ、美しくかつウィットに進行をする十六夜咲夜のコンビネーションもいい。
 リストにのっている商品が急遽出展中止になるのが多い事はたまにキズだったけど、出てくるアイテムはかなり幅が広く一日にひとつぐらいは誰かしらの興味を引くモノになっていた。
 紅魔館側がお嬢様のワガママぶりのせいで、財政難に陥った為に身売りし始めたオークションだったハズが、今では命蓮寺のダウジング鼠に依頼してまで物品をかき集め、または仲介料をとってオークション出展も受け付けている。
 もう何度と開催していて、商品に縛りを儲けてイベント性あげてすらいるから一大事業だわ。
 おかげで、ワインや人形の物価があがっているのが大いに困りもの。

「やぁ、人形遣いさん、今日も肌の白さは天下に勝るものがないな」

 突然にすっごくラフに声をかけられてびっくりしたが、振り向けばやっぱり豊聡耳神子だった。
 オークションの常連の一人で、何故か黒の縦ストライプタキシードを完璧に着こなしてやってくる。
 美術品や骨董品を自身の財力(過去の恩恵?)でひたすらにかっさらっていくまさに貴族の象徴のような存在だ。
 最も財力があるのは間違いない。お金の手持ちだけならば八雲よりも上じゃないかと噂される事もあるぐらい。
 ついでにプレイボーイ。
 女性だけど。

「今日のオークション、ラストは君にとって注目の逸品だろう」
「ええ、まぁ」

 私はロデレール・エステートを口にしながら、わかっているなら話しかけないでよねと心の中で思う。
 欲望を探る事で過去未来が見えるというこいつならではの探りなのだろうけど、それも気に食わない。

「どれぐらい値上がるかは知らないが、一本で出品とは余程の代物なんだろう。呑む時は是非呼んでくれたまえ」
「あら、私も流石にそうそう開けないわ。アレは所有することにも価値があるのですから……貴方は狙っているのだと思っていたけれど、違うのね」
「私は食品に殆ど興味がないからね。情報も仕入れなかったのだけれど、所有価値が高い代物なのかな?」
「ジェファーソン・ボトルのブランヌ・ムートン1787年、世界一高いワインまたはビネガー。貴方、日本の豪族やら首相アイテムって出ると即買い付けてた覚えがあったけど、大統領は興味ないの」
「今日しているタイは、リンカーンという男の使っていたモノだそうだ」

 ドヤ顔でそんなアンティークをしめなおされても反応に困ってしまう。

「まぁ、オペラグラスや脳の断片などとは違って、あくまでも食品でしょう? 様子見はするだろうけど、少しだけ楽しませてもらうかもね」

 右手をあげて笑いながら去っていった。
 おそらく、今の簡単な情報で、神子もオークションにある程度参加してくるだろう。それぐらい軽い人なのである。
 そう、今日はそれでいい。

 続いて目に入ったのは古明地さとりと……西行寺幽々子。
 端の方のテーブルでふてくされたような顔をしているさとりに笑顔で幽々子が話しかける、というチグハグ極まりない二人だ。
 そういえば今日の標的と味方がセットになっている。不自然なぐらいね。
 私はシャンパーニュグラスにもう一杯、ロデレール・エステートをいただきつつ手だけ二人に振った。
 さとりも幽々子も一瞬目があって手をふると、すぐに話しに戻ってしまう。
 少し内容が聞こえるがオークションの話ではなく、霊の管理がどうこうと地味に仕事の話だ。
 最も効果的な彼女への嫌がらせ方法かもしれない。
 あるいは心を読ませない方法かしら。
 今度使ってみよう。

 古明地さとりは地霊殿の主にして、地下世界を統治する妖怪。
 カワイイ系やモダンな美術品、そしてワインコレクターで、地霊殿のハートマークインテリアを着実に冷静に増やしていっているらしい。
 地下に古明地コレクションと呼ばれるセラーを持っていて。幻想郷では3番目の価値をもっている(1番は言うまでもなく私のアリス・コレクション)。
 既に彼女とは別のオークションでも競り合いになったことがある。私より財力はあるので本来は厄介な相手だ。
 しかも今回のワインは『ブランヌムートン』……つまり『ムートン・ロートシルト』というワイナリーのもので、彼女はそれらアーティストラベルをコンプリートしている。
 私以上に、欲しいだろう事は間違いない。

 西行寺幽々子は霊管理を八雲紫から任されている、幽霊界の女帝だ。
 そののほほん具合や食事をとにかくしているイメージから忘れられがちだが、死んでも名門のお嬢様でありオークションの常連でもある。
 主に買っていくのが食品ばかりなのが彼女らしい。
 紅魔館オークションは実は最も盛んかつ人気なのがお酒のオークションであり、古酒の西行寺と呼ばれるに不足ない戦歴だ。

 本来今日のメインイベントの最大敵になる。ハズなのだけれど、事情はちょっと違う。
 何故なら……

「また眉間にシワが寄っているわよ~? 福が逃げちゃうじゃない、大丈夫?」
「ん……わっ!?」

 いつのまにやら西行寺。
 鼻先がつくぐらいの距離に突然現れるのはやめて欲しい。
 香水もつけていないのに桜のようなふんわりとした香りがする。

「あんまり考えてると筒抜けになっちゃうでしょ」
「え、ええ、そうね。さとりはどこに?」
「妹がまたいなくなったんですって」
「そうね、良くいなくなるもの。まるで必然のように」

 もちろん口実ね。西行寺幽々子から逃げるのには妹もダシにしなくちゃならない。

「オークションで貴方が挙動不審になってたら、すぐに疑われちゃうわよ。ポーカーフェイス、ね?」
「余計に緊張するからあんまり言わないで……」
「ふふ、都会派なんて言うクセに。田舎から上京してきたばかりの子みたい」

 所詮お酒なんですから酔った気分でね、と微笑しながら西行寺は次なるトーク相手を探しに行ってしまった。
 余計なお世話!

 私はメイド妖精を呼び、白ワインをいただく。
 『ケンダル・ジャクソン・グランリザーヴシャルドネ』だった。
 外の世界の大統領がテーブルワインにしていた逸話を持ったワインね。
 きっとパチュリーのセレクションに違いない。レミリアだったら何でもモンラッシェだっただろう。
 海風を含んだようなミネラリーな味わいが、私を冷静にさせる。

 再確認。

 ミッション。
 今日最後のオークション。
 トーマス・ジェファーソンボトル・ブランヌムートン1787年……の偽物の価格を釣り上げる事。


 2:ムッシュエタンの集い

 一週間前の事をプレイバックしてみよう――

 ワインをふるまって

「おー、旨いな! ガツーンって感じだぜ」

 と、短絡的に言ったのが霧雨魔理沙で

「そうね、まるで魔理沙みたいよ」

 と、微笑んだのが西行寺幽々子だった。

 私はなにかを成す為でなければ、他人を家に呼んだりはしない。
 この対極的にも同一にも見える2人なんて特に。

 二人を便箋で~オイシイワインをご用意しておきます~と書いて差し出したら定刻20分遅れで両名とも私の家にやってきた。
 ゲストルームに二人を入れ、『ムッシュ・エタン』というワインをふるまった。
 『スケアクロウ』というワインの格落ちワインにあたるアイテムだけれど、味わいは充分にパワフルで感動的。
 クリムゾンレッドで全くすかさない濃厚なカラー、カシスの官能的な香りにカルダモンなどのスパイスが鼻をくすぐってくれる。
 バランスのいい味わいながら赤と紫の果実がぎっしりつまったパイ、カフェオーレの甘さ、そしてハーブが爽やかにしてくれる余韻。
 タンニンも気にならない程度のスパイシーさが流石で、ちょっと重たい味だけれどもワイン単体で呑むにはぴったり。
 それをガツーンって……魔理沙だけ別のワインを出せば良かったかしら。

「はい、ところで要件は何なのかしら。美味しいディナーのご案内、でもないのでしょう?」

 そう言いつつもう一杯、とおかわりを要求する西行寺。

「察しがいいのは助かるわ。本題に入るわね。二人を呼んだのは、今度の紅魔館オークションについて、よ」
「わかったわ。だから気に入った」
「え、殆ど何も言ってないんですけど!?」
「察しがいいほうが助かるって聞いたから……ねぇ?」

 ペースが乱される。やっぱり慣れない亡霊なんか呼ぶべきじゃなかったかもしれない。
 私は気を取り直す為に、軽く咳払いをしてから続ける。

「紅魔館オークション開催のチラシをみてればわかると思うのだけれど、今回の最後のオークションのアイテムがジェファーソンボトルなの」
「あー、わたし届いてない。貧乏扱いされてるからさー」
「はい、そのチラシ。それの最後の項目ね」
「えっと、これか。『ローゼンストックボトルでない、本物のジェファーソン・コレクションボトル・ブランヌムートン1787年』……いくらぐらいするんだ?」
「外の世界では、ジェファーソンボトルの『ラフィット1787年』に最高3000万の値がついたわ。ワイン界隈のボトル一本では最高の値段よ」
「そう言われても、なんか想像がつかん」
「……これだから田舎魔法使いは」

 魔理沙がなんだとー!このー!などと荒れ始めるが無視して続ける。

「ここに写真がないからわかりづらいのだけれど、当時のワインボトルにはエチケットなんてついてない。ガラス瓶に直接年号とボトルが刻まれていたの。で、わざわざ下のほうにTH:Jって刻まれている。これがトマス・ジェファーソンっていう大統領の為に製造されたとされているの」
「大統領って神子みたいなヤツの事か? なんか大したことないように思えるな。そいつが持ってるだけで値上がるならいい商売だぜ」
「そういう事なのよ。外の世界で3000万をつけたジェファーソンボトルは偽物だった」
「おいおい!? なんだよそれ、詐欺じゃんか」
「そうよ。ローデンストックっていう人が競売に出したジェファーソンボトルには、当時ではありえない道具が使われてボトルに加工処理が行われていた事から偽物だったと判明したの」

 私がここまで説明を端的に行っていると、西行寺はこちらに指をさして

「だから、気に入った」

 とウィンクをした。なんなのよこいつ……

「あんまり仲良くない私が仲の良い魔理沙と一緒に呼ばれたの、不思議だったのよね。わかったわ」
「誰が仲が良いのよ誰が」
「以下同文だぜ。で、この亡霊だけがわかってても困るんだが? どういうことだって」
「あなた達二人には、紅魔館にあるジェファーソンボトルを盗んで来て欲しいの」

 私はもったいぶるように、ムッシュ・エタンを飲み干す。
 濃厚なバニラクリームの質感が、私の口をなめらかにする。

「魔理沙を呼んだ理由はもうひとつあるの。貴方、カッパと仲良いわよね。金にガメついあいつらの割に結構協力的だったと思うけど」
「ああ、実験手伝ったりしてるからな」
「魔理沙と幽々子には、紅魔館に侵入、ジェファーソンボトルを盗んできてもらう。幽々子を呼んだのは魔理沙が逃げ出しちゃってもいいように。月の民からお酒を盗める貴方なら、紅魔館なんてわけ無いわよね」
「ガッテンしょうちのすけよ~」
「なんだそりゃ」
「ここからが重要よ聞いて。盗んだボトルは、カッパの科学力で徹底的に調べさせる。その後、本物でも偽物でもボトルを紅魔館にこっそり返却して欲しいの」
「あら、返しちゃうの? 飲まないなんてもったいないわ~」
「そもそも、飲んだらもったいないんです! 本物でも、そのまま盗みっきりにしたら紅魔館を敵にまわして事件になりかねないからね。主催は一応レミリアな訳だし」
「でも偽物だったらさ、犯人はお前だーなんつって言ってやればいいじゃないか」
「あら、魔理沙ったら直情的ね」

 私は呆れた様子を手振りしてやる。こうすると意外とキュートな反応をするのが魔理沙だ。
 ほら、ほっぺた膨らませて。
 私は勿論その様子を無視して続ける。

「もしも偽物だった場合、知っているのは私達だけって事になるわ。他にもこのボトルが欲しいだろう人妖は古明地、それと本来なら白玉楼ね。後は大統領って事で神子さん。特に古明地はワインを良く知っているから欲しがっているハズ。手に入れてコレクターとしての箔をつけたいでしょうからね。神子さんに出来れば財力的にも名誉的にも入手して欲しいところだけれど」
「呑みもしないワイン飾っといて箔になるのか? 変な世界だなぁ……」
「実際に外の世界で争ったのはフォーブスっていう大統領コレクターとワインスペクテーターっていうワイン雑誌の編集長よ。さておき、私達以外が入札して落としてくれればいい。いっそ出来るだけ高い金額で落とさせる。その後で、落札者にワインが偽物であることを伝える」
「うわー、性悪! おまえ性悪にも程があるぜ!! えんがちょ!!!」
「微妙に傷つくからやめて……とにかく、騒動を広げてオークション後に偽物を売りつけた事にしたいの。そうすれば紅魔館オークションを閉鎖させることが出来るかもしれない」
「お前利用者なのに潰したいのかよ」
「アリスが閉鎖させたいのは、わかるわ。あそこ、段々味を占めてきちゃってビジネスになりすぎてるのよね。おかげで大したことない食材まで値上がっちゃったりしてるもの」
「そう。それを解消するチャンスかもしれないの。できれば偽物の方がいいぐらいね」

 長い話になってしまったけれど、ようするにオークションワインの真贋をハッキリさせる為に盗んで来て欲しいという事だ。
 偽物でもオークションルールとして返品返金はいかなる場合でも受け付けない事を了解の上……となっているから、他者に買わせる必要があった。
 私は西行寺に頼んだもうひとつの理由は伏せておいた。
 それは、本物だった場合は恐らく西行寺幽々子の性格からすると無理やり呑んでしまうから。
 そうすれば、オークションは中止になるし、おこぼれでジェファーソンボトルの味がわかるかもしれない。
 最高額がついたのは『ラフィット』のボトルだったけれど、実際に開けられた幾つかの中で味わいが奇跡のように美味しい(それも偽物だった可能性が高いけど)のは『ブランヌムートン(ムートン・ロートシルト)』だった。
 大体がして本物がオークションに出ても3000万円は本当に限度額だもの。
 体を売って稼がなくてはならなくなってしまう。

「それにしても、そんなワイン本当だったらどっから持ってくるんだろうな」
「パチュリーに問い合わせてみたら、フランドール・スカーレットが散歩ついでにもってくるモノの中のひとつ、ですって。適当にも程があるわよね」
「アリス、あのもやしみたいな魔法使いがそう言ったのね」
「そうよ。フランドール・スカーレットが散歩ついでにもってくるモノの中のひとつ。素敵な冗談だわ」

 西行寺は扇子を広げてひと扇ぎしながら、つぶやくように言った

「とにかく、盗んで返す。それだけなのね。ほんと、お安い仕事。このワインじゃ足りないぐらい」
「成功報酬は、この『ムッシュエタン』のワングレード上、『スケアクロウ』の古いヴィンテージをケースでいかが?」
「ほんと安いお仕事! いいわ、張り切って持ってきちゃうわよ~」
「まぁ、私にとっちゃ何時もパチュリーからは色々借りてるんだ。いつもどおり借りてオマケがつくならなんでもいーぜ」
「貴方達、一応スケアクロウって一本8万程度はするんだからね……」

 二人は揃って、ふーん、とだけ頷いた。
 全く、嫌になる。


 3:アリス審判

 西行寺と魔理沙のコンビは予想以上に呆気無く、ワインを奪取した。
 それも、なんとパチュリーに気づかれていない形で。
 ワンダフル。
 私はすぐにカッパに調査をするように、魔理沙を通して指示をする。
 壊したりせず、慎重に扱うこともつけくわえて。
 結果、河城にとりはこう言った。

「こりゃ偽物だね。瓶に魔術によって加工された形跡がある。図書館の魔法使い、金属魔法使えたでしょ? そう、それだね。そいつでボトルを1から組み立ててるんじゃないかなー。少なくとも外の世界の1700年代の技術じゃーない」

 更にカッパは自慢気に鼻をこすりながら付け加える。

「年代の加工も私の推測だがね、メイドさんがやったんだろうって思うよ。随分雑なやり方をしているけれど、これ本当にオークションなんぞで出す気だったのかな? あいつら必死だねぇ」

 そして最後にこう言って山へと帰っていった

「私にもワイン、ケースで頂戴よ。あ、箱をしっかりしてね。オークションで売り飛ばすから、閉鎖させるのそれからで頼む」

 これまで実は偽物の出展がなかった紅魔館オークション。
 ついにボロを出した。
 どうしてこんな偽物まで作る必要があるのかはわからない。
 けれどとにかく偽物を出展しようとしているのは間違いない。
 全ての条件が、偽物だと示している。
 私は一人小さく呟く。

「賽は投げられた」


 4:チェッカーズボード


 さて。
 ついに時はきた。
 私の心音は否応なしにあがる。
 ハートビート。
 他の音が聞こえないくらい。

 本日最後のオークション、ジェファーソンボトルの番がやってきた訳だ。
 ここまでオークションは順調に進んでいる。
 私は1点だけ、「アメリカンアニメ、トランスフォーマーシリーズのフィギュア一式。3年2組ろばーとぱーかー君のサイン入り」なるどーでも良いアイテムを1万円で落札した。
 また、ここまでの最高額は古明地さとりが落札したアンディ・ウォーホル作キャンベル缶ポスターで6000万だった。
 とにかく雑なぐらいに価格の順列もまばらだけれども、それ以外は進行に大きな狂いはない。

「皆様、そろそろ夜もふけてまいりました。主催であるお嬢様にとってはこれからが本当の活動時間なのですが、酔っぱらいの皆様には目を開けるのも厳しいでしょう」

 オークションの司会進行は十六夜咲夜。彼女が手を舞台袖に向ける。

「ですが、ここだけは良く目をこらして御覧ください。終わりましたら入眠していただいて構いません、本日のラストアイテムです」

 赤いペルシャ布がしかれたキャリーに乗って、ジェファーソンボトルがやって……こない。
 キャリーの上は何も置かれていなかった。
 反対側の袖からフランドール・スカーレットが何か持っている。
 ジェファーソンボトルだ。
 続いて出てきたパチュリーが受け取って、何やら手をかざしはじめる。
 判別魔法?
 本物だよアピールなのだろうか。

「えー、少々扱いに心配がございますが、皆様おまたせいたしました、『ローデンストックによる偽物でない、本物のジェファーソンボトル、ブランヌムートン1787』でございます」

 ほそぼそと拍手が起こる。私も一応程度にしておくが、ここで自分が緊張している事が確認できた。
 リラックス&リラックス、ね……

 オークションの仕組みは手元に配られている自分の手持ち札をあげるだけ。
 すると、ベット料金分だけ釣り上げられる仕組み。
 例えば、カーネル・サンダース人形を最低50万スタートベット料金1万で出展するとしよう。
 買いたい人が各々に札をあげると、1万円ずつ釣り上がっていく。最後に札をあげた人がその金額で購入するという訳。連続で札を上げるなどして極端に釣り上げる事は出来ない。また同じ金額で札をあげる事は出来ないし同時にあがった場合はオークション進行の咲夜のジャッジに任される。
 誰も札をあげなくなったら、最後の人物がカーネル・サンダースのお嫁さんになるという訳。
 シンプル。
 
「さぁ、随分と長い名前のこのボトル、100万スタート、ベット50万で開始いたします。夜もふけてきましたから、名前よりは手短にすませたいですわ」

 疲れた笑い声も聞こえる。
 早速興味があるふりをしてあげていこう。

「150万、アリスが早速ね……200万、250万、300万」

 札が連続してあがると進行の舌も大変だ。
 300万をいれたのは、古明地さとり。私も少し間をおいて釣り上げていく。

「350から400、450、3人同時は豊聡耳に600」

 やっぱり参入してきている豊聡耳神子。
 チラリと見ると、何も考えてなさそうなスマイル。
 1番購入した後に偽物だとわかったら騒ぎたてそうなので、出来ればお買い上げいただきたい。

「650、700、また3人同時西行寺に850。手短にとは言ったけど、焦るとロクな事にならないわよ。900」

 あれ、と思い西行寺の方に振り向く。
 黒に桜色の蝶がかかれたモダンな扇子で口元を隠している。
 釣り上げに協力してくれているのだろうか。打ち合わせ外だけどこの気まぐれな亡霊に私のペースなんて説明してもわからないのよね。
 私もすかさずあげていく。

「950、1000、1000が出ました他にいらっしゃいませんか……はい、1050……」

 うん、950が取れた。タイミングはつかめているみたい。入札はドンドン増えていく。
 順調だと私は感じていた。もしかすると本物の価格程度には入札させられるかもしれない。
 しばらく様子を見ていこう。

「1600、1650、1700……750。私も驚く程値段があがっていますわね、ボトル一本なのお忘れなく。1800、まだあがる1850」

 そして、私は

「2000。西行寺が2050。いらっしゃいますか、はい豊聡耳が2100……」

 違和感を覚える。

 オークションの基本として、キリのいい数字が出た場合そこからはひとつあがりにくくなる。
 だから私はさっき950に狙いをつけた。1000をとってしまうと、落札してしまう可能性が他の数字よりも高いから。
 2000というキリのいいところを古明地が出したから、セオリーでいけば西行寺は少なくとも様子を見るのがいい。
 この早さでの2050は明らかに、買うための入札という事になる。
 私も1800以降入札していない。値段の引き上げは2000でも充分だと私は思っていた。
 西行寺の方を見る。
 扇子で口元を隠したまま。
 私と目線があると、不気味に目だけで笑いかける。

 考えろ、私。
 
「2500、2550、2600、続いて古明地が2650……2700」

 私の脳が多数の人形を操る時のように、めまぐるしく動く。
 まるで世界のスピードが倍速になるように。
 思考と志向がつながっていく。
 数々の計算を始める、他の入札者、オークションサイドの動き、そして私自身の値段……

「2800、2850、次はいらっしゃいますか?」

 私は……

「2900」

 決断する。

「2950、3000。3000! さぁ、まだいらっしゃいますか?」

「3050! さぁ、もうどなたもよろしいかしら……いないわね? チェックメイト、3050、3050で落札です!」

 ハンマーの音が重たく響いた。


 5:読者へのコナンドラム

 さて。
 ワインを飲む、という行為の中にブラインドティスティングという方法があります。
 ラベルを見ずにそのワインの内容を当てるゲームで、それはさながら推理小説みたいなものです。
 世界1のソムリエを決めたり、コンクールなどでも用いられるスタイル。
 ある大会では、カリフォルニアのワイン達がフランスの一級ワイン達よりも高評価をつけ、その後の世界を大きく変えた夢物語もあったりするのだけれど……
 まぁ、そう難しく考えずに楽しみながら自分のブレインに経験をつませるっていうのが大事ね。

 そこで私ことアリス・マーガトロイドは、皆さんに2つ問いかけをします。
 ワインにもディッシュが必要でしょう? 魔理沙みたいにワインに興味がないって子もいるでしょうし。
 そして「ラベルや作り手で判断できないコンクールがお好きな方」ばかりが見ている、そんな気がするの。

 皆さんには競技的ワインティスティングと違って、明確な2つのポイントを吟味して欲しい。

 1、オークションに出されたジェファーソンボトルは本物か偽物か。
 2、落札したのは誰か。

 それぞれ正解まで導くのは、幻想郷に数少ない読書家の皆さんならば葡萄の品種を当てるぐらいの難易度かしら。
 理由まで明確に答えられたら、それは1流のティスターって所ね。
 物理的な証拠ではないけれど、各々のことを知っている人であれば推測が出来るようには作られている。
 カリフォルニアワインの『コナンドラム』みたいに一切謎の混醸酒、という訳ではないからご心配なく。
 
 最も優れたティスターには、普段は誰も通さないのだけれど私の地下カーヴのコレクションを見せてもいいかな。
 ワインに興味が無い?
 なら、もっと別の事を教えてあげてもいい。
 貴方が幻想郷の住人なら、ね。
 

 6:クインテッサ

 クリムゾンレッドの少し透けるカラー。
 香りの控えめだが綺麗なカシスと大粒のチェリー、それに良く出来たクラレットスタイルがもつハーブの印象。
 味わいまでもエレガントで、媚びていない全てにおいて適度をわきまえたワインになっている。
 この間魔理沙達と呑んだ『ムッシュ・エタン』に比べると全体に薄味で並べて呑んでしまうと下位互換のようにも思えてしまうかもしれない。
 しかし、エレガンス。
 私みたいにそれほど濃いのが好きでない、本来ならピノ・ノワール派の私からすればこれぐらいがベストだった。
 ぶどう品種や醸造場所にしては線の細い印象が、どこか目の前の魔女に近いような気がする。

 華やかなパーティーで飲むか、1人探求しながら飲むのがワインの本流だと思うけれど、こうして静かな場所で飲むというのも実に落ち着きがあっていいと思う。
 紅魔館にある図書館は魔理沙さえ入ってこなければ本にとってもワインにとっても最適な空間だった。
 パチュリー・ノーレッジは音をたてずにワインを口に含むと、一度深呼吸をしてから

「カシス、スパイス、ココアミルク、ミント……細部まで調律された味ね。傷の無い完全なムーンストーン球みたい。値段程度ではあるわ」

 と答えた。
 私も小さく頷く。
 彼女との会話は、基本的に向こうから言葉がとんでこない。
 自分に興味がある場合だけ、声がかけられるのだ。
 だから、私はきりださなくてはならなかった。

「ねぇ、パチュリー。貴方は今回の結果、予測出来ていたの?」

 ふむ、と口元に手を当てながら

「あそこまで愚かとは思っていなかったけれど、大体のところはね」

 一息ついて更に、パチュリーは小さく呟いた。

「少なくとも、貴方は落札出来ないと思っていたわ」

 一週間前のオークションでジェファーソンボトルを手に入れたのは、豊聡耳神子だった。
 外の世界の歴史が繰り返された形になってしまった。
 世界で2番目のワインメディアであるワインスペクテーターが、フォーブスに敗北する形だったリバイバル。
 オークションは弾幕勝負と違って、単純に目的が同じ場合は財力の高い者が勝つ。
 私は3000万で入札したけれど、神子が3050万にあげたことで諦め、そのまま落札が通った。
 西行寺も古明地もそして私も、ジェファーソンボトルが最高3000万円の価値である事は知っていたから、それ以上に入れる気はしなかったという事だ。
 後に3人にたずねてみたら

「仕方がないわよ。豊聡耳は永遠と値段を釣り上げそうだったもの。確かに私はムートンのコレクターだけれどあんなのと争って妹やペット達を露頭に迷わせたくない。キャンベル缶買っちゃったし。それに、3000万は『ラフィット』の値段よ。『ムートン』はされど、『ラフィット』を超えてはいけないわ」
「経験なくして想像は出来ない。飲みたかったけれど、中秋の名月に3000万払うならお腹にいっぱいにお団子を買う方がいいわよね」
「コレクターとしては当然だよ。私を誰だと思っているのかな? まぁ、1番の理由は君と古明地さんがやたらと鬼気迫る顔をしてたからね。それならば私が持っていた方が平等じゃないかなって。ふふ、今度豪族コレクションの展示会をするから見にきたまえ」

 と、もっともな事を言っていた。

 唯一、外の歴史と違ったのはワインが本物であっただろうことだ。
 私は深く溜息をつく。

「本当に悔しいわ、計画通りに負けちゃったんだもの」
「……計画通りってどういう事」

 私は経緯を全て話した。
 もう終わってしまったオークションだが、ある程度手痛い目に合わされる可能性まで考えていたけれど、パチュリーは目の前のパニエに入ったワインボトルを眺めている。

「なるほど、それで『クインテッサ』……『真髄』って名のワインを持ってきたと。貴方、そういうの好きね」
「貴方もそうでしょう? インテリジェンスの中にも文系理系というのが外の世界にはあるそうだけど、貴方も私も文系魔法使いだもの」
「オークション自体は成功に終わっているし、おとがめはしない。次やったら、容赦なく私の魔術を披露してあげるから、見たかったらやりなさい」
「遠慮しておきます」

 飲んでいるワインは『クインテッサ』というカリフォルニアワイン。
 オークションに負けた次の日に図書館に預けたワインだ。
 今日、パチュリーに会うために。本物であるという確証を得るために。
 パチュリーはもう一口、ワインを含むと少し微笑んだ。

「これ、評価誌はあんまり良い判断を下していないけど、悪くは無いわね」
「私はなんとなく好きなのよ、少し薄幸で特別ではないんだけれど、全てにおいてひっそりとして品がいい」
「色々と中途半端で無理やり抑制して少女してる感じはアリス、貴方そっくりよ」

 失礼な。

「さて。手短に話しましょう。あのジェファーソンボトルは正真正銘、ジェファーソン大統領の手に渡り彼がボトルを手にとって眺めた事があるものよ」
「ソムリエに注がせてなかったのかしら」
「わざわざ自分用に仲介業者を挟まずに直接買ってたような人だから、もしかすると自分で注いでたのかもね。米国という国は開拓の国だそうだから、ジェファーソンも大統領を辞めてソムリエになりたかったのかも」
「まさか」
「そうね、アメリカンドリームすぎね。話を戻すわよ。それら条件は私がオークション前に行った魔法で明らかに判別されたわ。そして、そうなる事をレミリアも自身の運命操作能力で結果までは知っていた」

 私は、用意してくれたテリーヌをひとつ口に入れる。
 良く噛む。
 飲み込む。
 それから驚く。

「え、鑑定本当にあの場でやっていたの」
「貴方が余計に疑いすぎているだけよ。あれはあの場で初めて持ち込まれ、そして初めて鑑定されたの」

 オークションの前にパチュリーに聞いた言葉を思い出す。
 西行寺がわざわざ確認してた事も同時に。
 まさかあの亡霊、その段階で気がついていたのかしら?
 だとしたら、デウス・エクス・マキナにも程があるわ……

「まさか本当にフランドールが散歩ついでにもってきたものだったって事?」
「何も嘘はついていないわ。略さなければ、当日にフランドール・スカーレットが散歩ついでにに再思の道で幻想郷に迷い込んだアレコレ拾ってきたモノの中のひとつがジェファーソンボトルだった訳。それをレミリアが運命操作で把握していたから、オークションリストに掲載したの」
「そこまで精度が良かったかしら、あの運命操作能力?」
「なんとなくでも結果がわかれば充分。結構な商品がそうした形でリストにのせていたのよ。オークションに出される物品の価格がたまに不自然な順番なの気付いてなかったのね」
「納得。あれ、手に入れてきた順なのね」

 私は呆れつつクインテッサを口に含み、繊細なタンニンと甘みの調和を楽しむ。
 段々とスッキリとしてきた。

「そこまでガサツにリストアップしてたなんて。それじゃボトルが完全な状態かわからないじゃない」
「妹様が破壊して持ってきていたら中止すればいいだけの事。貴方、変なサイン入りフィギュア買ってたけど、あれある意味欠陥品だからね」
「それじゃ、私達が取ってきて調べたのはただのサンプルだったと」
「ええ。レストランのサンプル以上の価値はないわ。見れば明らかに偽物だとわかるけれど、お店に入るには充分好奇心をそそる程度の体裁。もしかすると西行寺は明らかにサンプルな事に気づいたのかも」
「あの亡霊、本当に恐いのは死を操る云々よりも、適当さよね。全部見えてるって意味での」
「同感」

 私達はクインテッサを飲み干した。
 最後までぶれずに上品なままで、しばらく余韻にひたっていた。
 パチュリーが指を鳴らすと、十六夜咲夜がブルスケッタとワインをもう一本持ってくる。
 なんだか海外のスーパーマーケットのようなラベルだ。

「ワインの方は、『ジョージ・セレモニアル』よ。貴方、ピノ・ノワール好きよね」
「学術的な貴方がクラレットの後にバーガンディーなんてソムリエかマニアな飲み方するのね」
「あら、素敵でしょう。これも自由の国と呼ばれる米国のワインなんですから。名前だってジョージよ、ぴったりだわ」
「その大統領全く関係ないでしょうに。負けた私への当て付け?」
「いいえ、文系アピール」

 ワインが注がれるとさくらんぼパイの香りが広がる。
 まるで、暗い照明の図書館に桜の花が咲くようで。

「さ、とことんカリフォルニアワイン楽しみましょう」
「随分気前がいいのね」
「疲れるのよ、運営サイドっていうのは。ウェルカムパーティーのせいでその後しばらくはロクに洋酒を飲もうって人もいないし」
「パチュリー、貴方って結構寂しがり屋なんじゃ……」
「余計なレッテル貼りはノーサンキュー。今日はカリフォルニアからワシントンまで――上から下までひと通り飲み尽くしてやりたい気分。アリス、付き合いなさい」
「それなら『シネ・クア・ノン』とかある?」
「貴方がもっとオークションに勝つ方法、教えてあげる。『ポーカー・フェイス』を学びなさい」

 私達はそれから延々と飲み続けた。
 パチュリーも鬱憤がたまっていたのか、物静かな印象とは打って変わって饒舌だった。
 何言っているか良くわからなくなってきた。
 私も赤らんでいるに違いない。

 有名なジェファーソンボトルを追った書籍の最後は、ジェファーソンも最終的にはブランドではなく地元のテーブルワインを楽しんでいたとしめくくられる。
 私はそんな域には達していなくて『ジェファーソンが所有していたテーブルワイン』というだけで、彼の何万倍もの値段を払ってしまうかもしれない。
 それは間違っているのかしら?
 ラベルは、味わいよりも強し。
 それって生きてるって事においても同じなのかも。

 そして、ラベルだけを見て知ったつもりになってはいけないのだろうと経験から推測する。
 パチュリーだって、魔理沙だって、西行寺に古明地に豊聡耳だって、ラベルの中身は別物かもしれない。
 ジェファーソンボトルの味が謎のままのように。
 計画に利用するって目的抜きで、今度彼女たちにワインを振る舞ってみよう。
 開けてみなければわからないから。

 ただ……今はきっと何を呑んでも同じ感想しか出てこない。
 
 あぁ、とっても美味しい。
―不可欠のエチケットレース―
2013 迷いの森 SS
プロダクト&ボトル:アリス・マーガトロイド
アルコール:15%
コンテンツ:アンダー30kb
セパージュ:アリス75%・パチュリー5%・西行寺5%・霧雨5%・古明地と豊聡耳と紅魔館10%
テレフォン:ひ・み・つ
参考:「世界一高いワインジェファーソンボトルの酔えない事情」「ザ・ファインワインギーグ」他

never accept. the tyranny of being LABELED
がいすと
government-of-darker@live.jp
http://twitter.com/geist_G_O_D
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.簡易評価なし
1.7アメリカ探索者削除
アメリカから来たワイン。ワイン愛好家のアリス。
良いテイストだとおもいます。
全体的なカタカナが、知識不足もあり、分かりづらかったです。
それがなければ、アリスのワインへの愛が、ぐっと伝わった気がします。
2.5削除
てっきり、瓶は偽物だけど、中に入っていたワインは本物なオチかと思っていた。
3.5烏口泣鳴削除
謎解きの形になっている点は面白かったけれど、驚きが少なかったのが残念。ワインの歴史を知っていれば面白いかったのかもしれないけれど、全くの無知なので。
4.7削除
背景とのマッチが素敵でした。
5.5がま口削除
はー……ワインが苦手な私にはちょっとレベルが高い作品でした。
短編の中にこれでもか、これでもか、と詰め込まれたワインの名前と瀟洒な文体にクラクラしています。
自分はどちらかと言えばビールみたいにワイワイやるか、もしくはサワーやチューハイみたいに甘くておいしい庶民の味方なお酒が好みなので、申し訳ありませんがこの点数で。
6.3エーリング削除
背景色、文章の色から始まり、章立てにまで工夫されていて、話と良く合ってお洒落な雰囲気を作り出していて良かったです。オークションやその裏工作といった展開も面白かったです。ただ私にとって看過できない点があります。アリスが当初の目的であったオークション妨害を一切達成できてないのに何らその顛末に触れることなく話が終わってしまう点です。元々雲を掴むような曖昧な目的(なぜ一個人である彼女がそこまで躍起になるのか?という意味で)に見えましたが、結末までこうしてぼやかされてしまうと、元ネタの話に無理やり繋げるためだけにこのストーリーは構成されているのではないかとさえ邪推してしまう感があります。
7.9百円玉削除
ワイン。ワイン感。ゲフンゲフン。 
大変に密度の濃い喉越し、専門用語の応酬のわりにスッキリとした歯ごたえの文章、きらびやかなオークションの匂いとそこに集う参加者はさながらオードブルのように取り合わせ自在、彩り鮮やか。本当にすごい。読ませる文章とお話だとおもいました。 
負けじともっと感想書きたいけど、うん……うん……。 
また今度にします。(面白い以外に思いつかないほどでした)
8.4みすゞ【5点満点】削除
お洒落な雰囲気が良いですね。こういう文章には憧れます。謎かけスタイルも好みでした。ただ謎かけするポイントはズレていたような気もします。謎にしてほしいのはそこじゃないというか、そこは別に興味ないよというか。他にもワイン関連で説明不足に思う所があったりで点数は抑え気味にしました。
9.10右の人('A` )削除
本文は勿論、タイトルからあとがきまで、隅々まで仕掛けがあって楽しかったです。
読めば読むほど発見があって、何度も読み返していました。
アリスを中心に洒落た雰囲気がとても魅力的でした。
10.6あらつき削除
試みは非常に面白かったし、物語にも納得。
ただ、5段落で問いかけられるまで謎に取り組もうという意欲が湧かなかったので、その点もっとそそってくるポイントがあったら良かった。
11.7みく削除
セリフ回しなど、上手いなあという感想が読んでいて浮かびました。ただ、読むとワイン呑んでみたくなるというより、ワインってすごい世界なんだなぁとショーケースの向こうから眺めていたくなる感覚ではありました。
問いかけの部分が少し浮いている気がしました。謎解き要素を特別入れずとも、ワイン感だけで十分おなかいっぱいなので。
12.7deso削除
面白かったです。
幽々子の食えない感じが良い。
13.8ナルスフ削除
圧倒的ワイン。
正直時間がギリギリの時に読んでしまったので、残念ながら推理をする余裕はありませんでした。
丁寧な伏線や、こんぺをブラインドティスティングに例えるなど気取りながらもなかなかに良いお仕事。
独特の雰囲気が圧巻でした。
14.9文鎮削除
いったいどんなワインを飲んだらこんなお話を書けるようになるんですか…っ!
扱っているワインはアメリカなのに、作品全体に広がる上品で紳士的な香りはどこか大英帝国を思わせますね。
まあ、クリスティーズだしそもそもアメリカはイギリスの元植民地だから仕方ないか(?)
ビンテージワインやオークションのことは詳しくないのですが、アリスたちの駆け引きは十二分に楽しませていただきました。
いやぁ、飲みたくなってくるなぁ…
15.7あめの削除
紅魔館がオークションで金を儲けていて、それを潰そうと企むアリス。この構図は面白い!
そして無性にワインが飲みたくなってくる。まったく飲めないけれど!
16.8めるめるめるめ削除
いい意味で気取った雰囲気が魅力的で、競売のシーンも謎解きも文句の付けようが無いほど面白かったです。
ただでも専門的な知識が無いのでいまいち何を言いたいのかわからない部分もあって、きっと雰囲気的な言い回しだから理解ではなく感覚で受け止めればいいんだろうなとは思いながらも若干のもどかしさはありましたね。
17.4ito削除
ワインのことは全く分かりませんが、ワインにちなんだ物語と会話の応酬、雰囲気だけでもなかなか楽しめました。
オークションの様子から偽物の値段をつり上げる、という謎を提示する冒頭や、オークションの駆け引きなどは、背景色と上手く相まって、とても魅力的でした。
幽々子のつかみ所のない感じがよかったです。
気になった点がいくつか。
全体のトーンに合わない表現が見受けられたのは残念な感じ。
「ガッテンしょうちのすけよ~」「えんがちょ」などは、他の部分との調和を乱しすぎて完全に浮いてしまっていると思います。「賽は投げられた」とかもオーバーすぎるような。
また、謎かけの部分も唐突すぎるような。ここに到着するまでにもう少し盛り上げて頂きたかったかも。
18.6このはずし削除
背景の色も含めて、なんというワイン感……。
圧倒されました。
19.9名前無し削除
取り急ぎ、点数のみで失礼します。
20.7K.M削除
なんとも狐につままれたような読後感です。