第十四回東方SSこんぺ(絆)

ハートフル地霊殿絆劇場

2014/09/14 23:14:26
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「じゃあ、あとこれとこれにサイン」
 紫はそう言って書類をさとりに手渡した。受け取ったさとりは不服そうにペンを走らせる。
「何でこんな」
「何でじゃないわよ。メルトダウン起こしといて、ちょっとした見せしめと、形式だけの書類にサインだけで済ましてやってるんだからありがたいと思いなさい」
 紫にたしなめられたさとりは、申し訳無いと思ってますけどと不満気に言いながら、書類をめくり二枚目にもサインを入れた。
「こんなの本当に必要? この一枚目と二枚目なんて殆ど同じ内容じゃないですか。無駄にしか思えないんですけど」
「統治には形式が必要なの。為政者なら文句言わない」
「為政者じゃないんですけど」
「あなたの情に訴えるやり方じゃ統治には限界がある」
「私のやり方って。そもそも私は誰かを治める様な統治者の器じゃありません」
「昔から旧地獄の色んな存在をその力で意のままに動かしてきたじゃない。操られている相手すら気が付かない位、巧妙に。十分その器を持っている。あなたにはね、いずれ地底全体を治めてほしいの。あなたなら出来る。だからしっかりしてよね」
 紫が真面目な顔をして言うので、さとりは苦笑した。
「こんな暗い穴蔵を治めたって……私は地霊殿さえあればそれで」
「だから、それすら危ういって言ってんの。あなたのやり方の所為で今回どれだけ被害が出たか。こんな事を繰り返していたら、いずれ危険視されて潰される。それに組織は大きくなれば裏切りも出てくる。その時に、あなたのやり方じゃ」
 その瞬間、障子が開いて、さとりのペット達がなだれ込んできた。
「馬鹿にすんな!」
「私達の絆があれば、地霊殿はずっと安泰なのよ!」



 さとりのペット達がぞろぞろと部屋に入ってくる。
「さとり様は周りの怖い妖怪達からあたい等を守ってくれてるんだ! みんなさとり様の事を尊敬している! 何も知らないあんたが変な事を言うな!」
「そうだ! さとり様が火の事を教えてくれて、つまらなかったのが一気に楽しくなった。その力で大変な事になった時も、さとり様がいっつも守ってくれた! 今回だって暗くて何も無い牢屋に入れられたけどさとり様が助けてくれた!」
 詰め寄ってきた烏に紫が微笑みを返す。
「あんたのご主人様が脱獄の手助けてした事は言わない方が良いわよ」
「え? 何で?」
 首をかしげた烏を押し分けた犬が、腕の無くなった己の体を紫に見せつける。
「見ろ! これは怖い妖怪にやられて無くしたんだ。絶望したよ。前足が無くなって歩く事すら出来無くなって、死を待つしか無かった。そんな時に助けてくれたのがさとり様。地霊殿に匿ってくれて、仕事もくれて、毎日が楽しくなった! 前足が無くても、幸せな生活が出来るのはさとり様のおかげ!」
 今度は犬を押し退けて猫が前に出た。
「あたいの両親も私が家で寝ている間に、外で悪い妖怪にやられた。それを聞かされたあたいは目の前が真っ暗になって、泣き続けた。眠る前まで傍に居た大切な存在と、知らない間に二度と会えなくなっていたんだから、悲しくて仕方無かった。両親の死を伝えてくれたさとり様を恨む位、心が荒んだ。でも、そんなあたいをさとり様は励ましてくれた。どんなに八つ当たりしても傍に居てくれた。両親の亡骸を取り返してくれたのもさとり様だし、家族を無くしたあたいを地霊殿っていう新しい家族に招いてくれたのもさとり様」
 鼠や鶏や猪や、沢山の動物達が目を輝かせてさとりの周りに集う。
「私もそう。昔居た鬼に一族みんなやられちゃって、その時に一人残った私を拾って下さったのがさとり様」
「私は羽を切られて仕事が出来なくなって元居た場所を追い出されちゃったけど、それを救ってくれたのがさとり様」
「私は、何でか知らないけど、みんなに嫌われて苛められて、死にたいって思ってた時に、嫌わないでくれて仲間に居れてくれたのがさとり様」
 紫は動物達を眺め回し、笑みを浮かべた。
 猫は紫の笑みを見て、自分達の絆を認めたのだと思い、胸を張る。
「あたい達はみんな不幸な過去があったけど、それをさとり様に救われた」
 烏も同じ様に胸を張る。
「だから私達は全てをかけてさとり様の大切な物を守りぬく!」
「みんなさとり様の事が大好きで裏切ろうなんて思わない!」
 そうして他の動物達も胸を張る。
「私達とさとり様の間には光り輝く絆がある!」
 だから地霊殿は大丈夫だと動物達がみんなしてさとりに抱き着こうと伸し掛かった。さとりは動物達に潰されて、苦しそうな、けれど楽しそうな呻き声を上げた。
 それを見ていた藍は思わず笑顔になった。



「まさしく絆だったわね」
 地霊殿を後にした帰り途、紫が苦笑しながらそう言った。
「ええ、本当にお互いを思いやっているみたいで」
 藍が感嘆の息を吐く。
 それを聞いた紫は、くすりと先程動物達に向けたのと同じ笑みを浮かべた。
「ねえ、藍。あなたまさか絆の語源を知らないの?」
「語源ですか? さあ、そういった事にはあまり」
 藍が困惑して紫を見ると、何だか面白がる様な顔をしていた。
「絆の語源は、動物を括りつけておく綱なの。だから絆っていうのは、本来何かを自分の意のままに縛り付けておく事なのよ」
 紫の露悪な解説に藍は嫌な顔をした。
「もしかして地霊殿の事を言ってます?」
 藍の問いに紫は微笑みを浮かべたまま沈黙を返す。肯定を示すその態度に藍はむっとする。自分の感動した、あの地霊殿の仲睦まじさを馬鹿にされたのが、許せなかった。
「彼女達が古明地さとりを思うのは、不幸な自分を幸せにしてくれたからで、決してさとりが彼女達を縛り付けようとした結果ではありません。彼女達は心の底からさとりを慕い敬っている。だから一緒に居るんです。紫様、それを縛り付けているだなんて、斜に構え過ぎですよ」
「そうかしら?」



「あの子達が不幸になったのは、全部あのさとりの仕業なのに」
さとり「私のターンドロー!

私は手札から地霊殿の主 さとりを召喚。さとりは召喚時に第三の眼トークンを自分フィールド上に一つ生み出す。

装備魔法、薔薇の刻印を発動。墓地の植物族を除外する事で相手モンスター一体に装備しそのモンスターのコントロールを得る。

手札から魔法、強制転移発動。第三の目トークンを選択、相手モンスター一体とコントロールを入れ替える。

更に魔法、精神操作を発動。相手モンスター一体のコントロールを得る。

伏せていた罠、サンダー・ブレイクを発動。手札を一枚捨て、相手フィールド上に存在する第三の目を破壊。
さとりのモンスター効果発動。第三の目と名の付くカードが破壊され墓地に送られた時、相手モンスター一体のコントロールを得る。

そして装備魔法、団結の力を発動。さとりに装備する。団結の力を装備したモンスターは、自分フィールド上に存在する表側表示モンスターの数掛ける八百ポイントアップする。
私の場にはモンスターが五体。ゼロだったさとりの攻撃力が四千になる!

さとりでダイレクトアタック。
これが私達の絆パワーだ! テリブルスーヴニール!」

こいし「ミラフォ」
烏口泣鳴
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コメント



0.簡易評価なし
1.無評価10月削除
内容の薄さと後味の悪さ、それに後書きの寒さが合わさる0点に相応しい作品でした。無評価ではありません。
2.1みすゞ削除
ちょっとよく意味が分からなかったです。
3.1ナルスフ削除
本編は正直突っ込みどころしかなかったが、あとがきで笑ってしまった。
4.1u!冫ldwnd削除
鼠か鶏か猪か、何かもわからぬ動物か。それが語る人間のような悲しい過去を一言述べるだけで絆を感じられるかと言えば難しく。
最後で落とすインパクトを企図していたと見ましたが、そのために上げることが出来ていないという印象です。全てをわかっているだろう紫の言葉にしても脈絡のなさという印象だけがありました。
5.5がま口削除
わぁ! 何というマッチポンプさとり様!
絆の使い方と短い中でのオチがグットですが、ハッピーエンド症候群の我が身にはつらい話だ……
でもこの黒さは、何というかさとり様らしいな、とも感じました。
6.6めるめるめるめ削除
 シンプルで捻りも効いててよかった。オチの切れ味が鋭くて、ショートショートのよい見本みた
い。
 後書きは意味不明。
7.7このはずし削除
うおお、さとり様恐るべし。
個人的にはもう少し長いストーリーで読んでみたかったですが、面白い着想でした。
8.4うるめ削除
ショートショートならばもう少し捻りの効いたオチが欲しかった……。
9.4きのせい削除
さとりの得体の知れなさが端的に出ていて結構お気に入りです。絆というテーマを逆手に取ったのがまた良い。
あと後書きの飛ばしっぷり。
10.4文鎮削除
イエァ、やるじゃないですかさとりん。
流石は怨霊も恐れ怯む少女といったところですね。
11.6K.M削除
知らぬが仏、と。遊戯王OCGにおいて、トークンは破壊されても墓地に行かないような…………「トークン」と名前につくがモンスターカードで、デッキから特殊召喚でもしたのだろうか。