第十四回東方SSこんぺ(絆)

輝針城の裏側で

2014/09/14 23:57:01
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      大丈夫、君の願いは私が叶えるよ。
      きっと、いや必ず。だから…………






 なにやら最近、各地で道具が妙な挙動をしているらしい。
 実際、私のお祓い棒も風がないのにゆらゆらしたり独りでに部屋の埃を自身で掃いていたりと勝手に動いている光景を目にしている。
 これは異変に違いない、霊夢さんたちも動き出すだろうから迅速に行動しなければ、と思いたち出発したのがついさっきである。
 神奈子様と諏訪子さまに勇ましく出陣の言葉を述べてから時間にしてわずか数分後。
 私、東風谷早苗は妖怪の山の上空を飛行中に強烈な下降気流に巻き込まれ墜落していました。



「いやぁ、危ない所でしたねぇ」
「笑い事じゃないですよ! 本当に死ぬかと思ったんですからね! いくら飛べると言っても、強すぎる風の中では限度があるんですからね!!」

 九死に一生を得た森の中、照れ隠しのようにあははと笑う彼女に対し、言葉に加え身振りも添えて全力で怒りを表現しました。

「いや本当に申し訳ない。最近この団扇の調子が悪いのはわかっていましたが、まさかここまで強力な風が暴発するとは」

 そう述べるのは、顔見知りの天狗の一人であり新聞記者の射命丸文さん。
 なんでも、葉団扇を試しに使ってみたら自分でも予想してなかったほどの颶風を生み出して、たまたま上空を飛んでいた私を巻き込んでしまったそうなのです。
 慌てて重力+暴風を受けすごい勢いで落ちてくる私をキャッチし命を救ったそうですが、そもそも元凶は彼女ですから私の怒りは差し引きしてもまだ高い水準にあるのです。

「落ちながら、木々の隙間から見えた簡単なお墓見て『自分はどんなお墓に入るのかな』と考えちゃうとか、ホント思考が滅茶苦茶になるぐらい怖かったんですから!」
「すみません、すみませんでしたって。今回のことに関しては全面的に謝りますからどうか機嫌直していただけないでしょうか」
「まったく、もう……」

 確かに、異変の延長にあるとしたら不可抗力の事故と言えるでしょう。
 で、あれば人としては確かに許すのが筋かもしれません。
 ここは怒りを抑え、許してあげる寛容さを見せるのもひとつの手でしょうか。

「いいでしょう。あくまで事故だったということで、許してあげましょう」
「ありがとうございます神様現人神様早苗大権現様」
「…………本当に反省してるんですか?」
「勿論です!」
 
 やっぱりおちょくられているのでは、と土下座している文さんを見下ろしながら考えつつ、思考を切り替えようとして。
 私は、とっさに先ほど口から出た点について気になったので尋ねてみることにしました。

「とりあえずさっきの件はおいておくとして、一ついいでしょうか?」
「はい、なんなりと」
「落ちながら、目の端に映ったんですがさっき私が言った墓って誰のものなんですか?」

 落ちながら、外の世界の事や霊夢さんと初めて対面した時の事とかを3ループくらい走馬灯で見ていた時に視界の端にチラリと見えたのですが、この事は黙っておきましょう。
 そこを詳細に話せば、文さんは走馬灯の詳細を根掘り葉掘り尋ねてきて時間を浪費してしまうことになってしまいそうですから。
 そんな心算を知ってか知らずか、文さんはしばし腕を組んで考えた後、ようやく思い当たったのか私の疑問に答えてくれました。

「あぁ。あっちの方角の、木材が一つ立っているだけのやつですか。よくわかりましたね、お墓だと」
「えぇ、まぁ外の世界でも創作作品内ではああいう感じで弔っているのがテンプレートみたいにありますし」
「あれは、あの場所で死んでいた妖怪のお墓ですよ」
「妖怪の?」
「私は面識がなかったので詳しいことはわかりませんが、なんでも颪が吹いた際倒木に巻き込まれて亡くなられたとか」
「妖怪は人間より頑丈といいますけれど、死ぬときは死ぬんですね」

 聞き返した私に対し、文さんは両手を上にあげつつ言葉を続けました。

「それはそうですよ。ただ、事件性がないということで追加調査などをしていないのでこれ以上は何も知らないですね」
「そうでしたか。いえ、これくらいで十分です」

 はて、よく考えたらば妖怪より脆い人間である私はついさっきその墓の横に並びかねない目にあっていたような。
 ……これは、やはり腹に抱えた一物は解消せずそのままにしておいても良さそうな気がしてきました。
 とはいえ、ふと浮かんだ疑問も解消できたことですし、ここは怒りはひとまず棚においといて本来の行動に戻るとしましょう。

「では文さん、私はこれで」
「あ、いえ。ちょっとよいでしょうか」
「はい?」






            STAGE1 最強氷精の涙



「あ、見えてきましたよ湖!」
「それにしても、どうして湖なんですか?」
「異変の解決は湖から始まるケースが結構あるんですよ」
「本当ですかぁ?」
「清く正しい射命丸、嘘つきませんって」

 あの後、文さんに同行をせがまれましてなんだかんだすったもんだの挙句一緒に行動することとなりました。
 曰く『葉団扇は危ないので置いて行きたいのですけれど、そうすると一人で行動するのは心細いので一緒に行動させてください』とのことでした。
 団扇がなくても相当な実力者である筈ですし、察するに私に同行して文々。新聞の記事を作りたいという魂胆と思われます。
 ですが、これはまぁ良しとします。
 私としても、行動を広めてくれる方がいるというのは信仰の獲得につながるためメリットが有ります。
 それに、私が幻想郷に来る前にあったという、終わらない月夜の事変の「人間と妖怪のコンビ」というものを話に聞いて少し憧れていましたし。
 名付けるなら「山脈の疾風」か「妖山の風神」か、やはり山と風の要素は両方入れたいな……と、そんなことを考えながら湖畔を飛んでいたらば遠くに見知った姿が見えました。

「おや、あれは……」

 片方は巨大ロボ騒動の時などでよく知る姿でした。
 チルノさんと、ルーミアさん。二人して岸辺で取っ組み合いをしていました。
 弾幕ごっこを挑んでくるならばそれもよし、いずれにせよ何らかの情報は得られるだろうと踏み彼女たちに近寄ろうとしましたが。
 私は文さんに前進を阻まれました。
 思わず一言物申したくなりましたが、それは文さんの表情を見てやめざるを得ませんでした。
 表情が、未だかつて無いくらいに真面目な表情をしていましたから。

「すみません早苗さん、少しここで待っていていただけませんか」
「え? なんで……」

 そんな会話が聞こえたのかルーミアさんとチルノさんはこちらを向き、そして私は確かに異常だと認識しました。
 ルーミアさんの正面には何本もの氷柱が刺さり、それ以外にも右肩を中心に大きな裂傷がありました。
 チルノさんの腕や指には甘咬みではつかないような噛み跡が多数あり、また腹部には深い刺し傷がありました。
 じゃれあいのような喧嘩でも弾幕ごっこでもない、もっと本気の”何か”であることが自明だったのです。

「…………」
「…………」

 お二方とも視線はぼんやりとしていて何も喋らない、そう思った瞬間、私の横を風が吹き抜けました。
 否、文さんが二人に向かって飛翔していました。
 一瞬の出来事に私が呆然とした次の刹那、チルノさんが腕ほどもある大きさの氷柱を生み出し文さんの顔めがけて投擲し、ルーミアさんが自身とチルノさんを包むほどの闇を展開しました。

「あ、危な!」

 しかし、私の危惧をよそに文さんは速度を落とすことなく氷柱を回避しさらに闇に接近、さらにチルノさんが居たあたりの場所へと右腕をつきだしました
 直後に響く、濁ったような悲鳴。
 もはや思考が状況に追いつかず呆然とするしかない私の見ている前で闇が動き再び響き渡るくぐもった絶叫。
 ようやく動ける様になった私の前で闇が晴れ、視界に入ってきたのはうつ伏せに倒れ伏すチルノさん。
 そして、右肩を掴む文さんの左腕に噛み付いたまま気絶しているルーミアさんの姿でした。



「ごめ、んなさい。ごめんな、さい…………」
「大丈夫、私もおかしくなっていたから怒らないよ。大丈夫、大丈夫」

 あの後。
 何が起きたかはわからないもののどうやら正気に戻ったらしい二人に手持ちの応急セットで可能な限りの処置をしました。
 弾幕ごっこでも怪我をすることがあるので絆創膏包帯の類をいくらか持ってきていたのですが、予想外の事態でそれが役に立つこととなりました。
 ただ、あくまで簡易的な手当でありチルノさんのお腹やルーミアさんの右肩は永遠亭に行くべきレベルの傷であったため十分な手当ては不可能でした。
 それでも、妖怪の頑丈さ故か、チルノさんは仰向けに寝転がり涙を流しながら謝罪の言葉を繰り返し、ルーミアさんはおでこを撫でながら優しく言い聞かせるように許しの言葉を伝えているのでした。
 幾度目かのループの後、傷によるものよりも精神的疲労と泣き疲れによってか寝息を立てるようになったチルノさんを起こさないよう静かに3人の車座となり状況の確認が始まりました。

「先程は失礼しました。妙な気配を感じたとはいえ傷口に思い切り触れてしまいまして」
「こっちこそごめんなさい、腕を思い切り噛んじゃって。傷は?」
「噛む力が全力になる前にこれを取り出したので大丈夫です」

 事実、文さんの腕の噛み傷は浅いもので、傷周りを軽く拭いておけば大丈夫であろう程度のものでした。
 そして、文さんは私達の前に紙を丸めたようなものを2つ置きました。
 広げると、2つの中にはそれぞれ1つずつ小指の爪ほどの薄い金属片が入っており、そのどちらもが微妙な力を発していました。

「最初にお会いした時点で何やら様子がおかしく、またお二人から微弱ながらも同質な魔力、或いは妖力を感じたのでもしやと思ったのですが当たりだったようですね」

 私は、最初に二人を見た時には気づいていませんでした。
 感覚の鋭さか警戒心の強さか、そういった点ではまだ若輩の私よりもずっと凄いのだということを改めて感じさせられます。

「それにしてもどうしてこんなものがお二人の傷口に?」
「それは――」

 ルーミアさんが話すところによると。
 今日、そもそもルーミアさんは友達であるチルノさんと遊ぶ約束をしてこの湖に来たのだそうです。
 ところが約束の場所に来た時、チルノさんは湖上で霊夢さんと弾幕ごっこで勝負をしていたのだとか。
 しばらく見ていたら霊夢さんが勝ちチルノさんは水面に落下。
 負けたのを慰めてあげようかと考え声掛けながらそちらへ行こうとした直後に背後で何かの気配を感じ、振り向いたところで右肩を斬りつけられた、ということでした。

「その後そいつは私を追い抜く形でチルノの所に行って、お腹を刺したんだ」
「酷い話ですね、実に悪質な通り魔です」
「……………………」

 憤る私をよそに、文さんは何やら紙を見て思案しているようでした。

「そう、前置きも何もなし。その後、そいつはその後人里の方に飛んでいったんだ。後はなんだか急に暴れたくなって…………」
「暴れたく?」
「そう、とにかく暴れたくなったんだ。弾幕ごっことかそういうことを考える知性や自制する理性が取っ払われちゃう感じで」

 察するに、傷口に埋め込んだ金属片がアンテナのような役割をして妖力か何かを受信し対象を凶暴化させているのだろう。
 まったくもって酷い犯人である。

「でも、その間の記憶は残ってるんだ。多分謝り続けているチルノも」
「理性を飛ばし暴れさせる、記憶は残る、と。後悔と傷だけが残るって最悪のパターンですね。それで、犯人は?」
「動物の毛皮みたいなものを纏って、金属の刃物を持った茶色い髪の女だったよ。私の食指が動かなかったから、人間じゃなくて妖怪だと思う」
「そして、これも手がかりですね」

 思案を止め、文さんが金属片を包んでいた紙を2枚とも広げました。
 そこには、ふりがなつきで言葉が書かれていました。

「身弓穴 大可(みゆみあな おおか)…………?」






            STAGE2 枝葉の下の鳥獣伎楽



 その後、チルノさんを背負って永遠亭へ相談に行ってくると言っていたルーミアさんと別れ、私と文さんは湖から人里の方へと向かっていました。
 移動中、文さんはしきりに何かについて考えたりあるいは文花帖を取り出してページを捲ったりしていました。

「もしかして、心あたりがあるのですか?」
「えぇ、まぁ」

 何度も取り出した手帖をまた仕舞ったあとで、文さんは言葉を濁しました。

「あの紙に書いてあった言葉、”身弓穴 大可”ってどこかで見た気がするんですよね」
「聞いた、ではなく見た、ですか」
「そうなんですよ。記事になりそうなものだとしたらどこかに書き記してあるかなと思ったのですけれど……おや?」

 そこまで喋ったところで、文さんはふと進むのを止めその場でホバリングをはじめました。
 今度は私にもわかりました。
 自分たちの足元の森の中、そこから例の金属片の妖気と似た力が発されているのを。



「ごめん、ミスティア」
「ごめん、響子」

 先の反省を踏まえて。
 今度は取っ組み合いをしている二人に気付かれないようこっそり近づき、不意をついて一気に金属片を除去したため実にスムーズに終了しました。
 確かに『では私が種族Yを狙いますね』『早苗さん、山彦も夜雀も種族はYなんですけれど』などと、昔見たスパイ映画の真似をしてちょっと微笑ましい意思疎通ミスもありました。
 ですがスムーズったらスムーズなんです。ミスティアさんの歌声は昼間だと鳥目の効果も薄弱なようでしたし。
 幸いお二人も、金属片を埋め込まれた脇腹の刺し傷以外は爪の引っかき傷くらいということで意識はしっかりしているようでした。
 なので、森の中、樹の下で話を聞きいくつかの新情報を得ることができました。

「森の中で私の屋台を牽きながら次のライブをどういう風にしようか、と相談してたらいきなり刺されたんだよね」
「そうそう。2人で引っ張りながら相談してたらいきなり。とても反応できなかったよ」
「姿は……肩の部分に動物の毛皮、その下は茶色い外套だかマントだかそんな感じだったかな」
「両手には鎌を持ってましたね。それと、鎌で斬る攻撃の間合いが実物より大きかったです」
「そういえばそうだったね。妙な空気の流れを感じたから、風か真空か使えるのかも」

 空気の流れに敏感なのはさすが声の専門家、というべきか。
 能力について一縷のヒントを貰うことができました。
 その後やはり永遠亭に行くという彼女たちと別れ、私達は再び里を目指して飛び立ちました。

「またしても包み紙には”身弓穴 大可”。この言葉については二人共ご存じないようでしたが、風に関する妖怪のようだと判ったのは前進ですね、文さん」
「そうですね…………」
「まだ、気になっているのですか?」
「えぇ、絶対どこかで見ているはずなんですよ”身弓穴 大可”って。でもそれが思い出せないのが悔しくて悔しくて」

 そう言われても私には心当たりが全然ないのでフォローやヒントを出すこともできず。
 結局、人里につくまで文さんはうんうんと記憶との格闘を続けたのでした。






 パズルのピースはそれなりに集まったものの全体像を見出すには程遠く。
 ならば里に来たついでに知識ある人に尋ねてみようという事で上白沢慧音さんのお宅を尋ねた私が見たものは。
 慧音さんの持つ剣によって胴体を真一文字に切断される人間の姿でした。



            STAGE3 集落内の半獣



「まったくもって申し訳ない」
「なになに、被害は斬られた私だけなんだ気にするな」

 漫画か映画の中でしか見たことのないような人体真っ二つというショッキング映像の衝撃冷めやらない私の目の前に広がるのは、気さくに被害者が犯人を許すシーンでした。
 藤原妹紅さん。彼女が斬られながらも慧音さんの胸に刺し埋め込まれた金属片を引きずりだしたため、私達は凶暴化慧音さんとは遭遇せずにすみました。
 ただ、願うならばあと5分遅く人里に着きたかったです。
 そうすればあのショッキングな光景を見ないで済んだのですから。
 私、文さん、慧音さん、妹紅さんのうちそのせいで私だけ精神状態ちょっと危ないのですが、これは私の方がおかしいのだろうかと思えてきちゃいます。
 そんな嫌な気分をごまかすために、私は話を進めることにしました。

「すみません、お二人の間で謝罪がどうなされるかはさておき元凶について話を進めたいのですがよろしいでしょうか?」
「あぁ、そう、だな」

 そして私は、今までの経緯を文さんと共に伝えました。
 道具の動く異変を追っていたら、弾幕ごっこではなく本当の殺傷を実行している者がいると知ったこと。
 彼女は金属片を埋め込む事で対象を凶暴化させるということ。
 彼女の容姿、能力の断片情報、残された謎の言葉、今までの被害者。
 その後逆に慧音さんと妹紅さんからも話を聞きました。
 曰く、道具の異変で浮き足立っている人々を落ち着かせようとあれこれしている時に私の説明した通りの姿の妖怪がやってきた。
 手に持つ刃物よりも明らかに長いリーチで里の人を襲おうとしたためとっさに慧音さんが我が身を盾にしたがその際に金属片を埋め込まれた。
 次に犯人は、元々何かあった時にために里に来ていた妹紅さんを見つけ襲いかかったが、妹紅さんの炎に炙られ傷を負わせる前に撤退した。
 犯人は逃げたが、慧音さんの様子が明らかにおかしくなったので、妹紅さんは犯人を追うことよりも先にこちらを何とかすることにした。
 最後に受けた一撃が原因と踏み、傷に触れたらば異物感があったので偶然ながらも狂化の解除に成功した、と。

「それからこの紙だが」
 慧音さん側の経緯を説明してもらった後で、慧音さんは自分の体から取り出した紙を広げて見せてくれました。
 そこにはやはり、今までと同じ”身弓穴 大可”の文字が記されていました。
「今までと同じ、ですね。心当たりはあるのですか?」
「ある、と言いたいが…………少し待っていてくれ」
 文さんの問いかけに対し、慧音さんは言葉を濁しながら立ち上がり、部屋を出て行きました。
 しばらくして帰っていた時、慧音さんは阿求さんを連れて半紙、墨汁、筆、硯を持っていました。
 新たな人物が登場し全員が改めて挨拶している間に、慧音さんは字を書く準備を整えて2文字を書いていました。
「よくある、漢字の分解だ”身弓穴 大可”、ご丁寧に空白を空けて2文字だとアピールしている」
 


           窮奇



「これは…………きゅうき、と読むのか?」
「はい、中国という国に棲むと言われる伝説の生物です。一説にはハリネズミの針が生えた牛の姿をしているとあり、別の説では風の神であるともされています」
 妹紅さんの呟きに対し、阿求さんが補足をしました。
「だが日本では、ある妖怪の当て字として使われている。風に乗り人を切り裂くあの妖怪の」
「もしかしてそれは」
 曲がりなりにも風と縁深い身。そこまで聞けば私はある妖怪に行き着くことができました。
 おそらく、風に関する妖怪としてはもっとも有名なその名は――



           かまいたち












「しかしあの話はどういうことなんでしょうか」
「あやややや…………正直、今はまだわかりません。どうにも話に筋が通らないんですよね」



            STAGE4 風の中の不協和音



 慧音さん妹紅さん阿求さんと別れ、私達はひとまず妖怪の山へ帰るべく空を飛んでいました。
 構え太刀から転じて命名されたという鎌鼬。確かにこの妖怪ならば鎌、獣、風という全ての要素を満たしています。
 文さんのスペルカード『魔獣「鎌鼬ベーリング」』にもその名が見られる妖怪。
 ですが、その名が語られた後の慧音さん達の言葉はさらに私達を困惑させるものでした。



『…………以前、いたのだよ。洒落っ気なのか犯行現場に”身弓穴 大可”という名を残していく鎌鼬が』
『つまり、そいつが今回の真犯人であると?』
『そうかと思ったんだが…………阿求殿も知っているのだよな?』
『はい、幻想郷縁起を編纂する際に資料を集めていて知りました。その鎌鼬は既に死んでいる、と』
『え? そうなのですか?』
『ふむ…………私は記事にした記憶はないですねぇ』
『名を残すのは数件で終わったし、彼女自身も誰かに殺されたとかそういうわけではなかったから、目立たなかったのかもしれないな』
『つまり、慧音。これは模倣犯ということになるのか?』
『あぁ。だがそうなると動機が謎となるんだ。例えば妖怪として名を挙げたいとしたら、そんな物真似などする必要がないわけだからな』
『でも他の要素は犯人の情報に合致してそうですね』
『ただの鎌鼬でなく、中国の風神を名乗る存在だからこそ風と神に関わりの深い私と早苗さんが微弱な力を感知できたのかもしれない、と?』
『あぁ、私はただ直感で最後に付けられた傷に触れてたまたまアレを引っ張りだしたからな。妖力の感知とかはできていないよ』
『ふむ――』



「結局、里でも色々風説が溢れているらしいですよ」
「らしいですね。やれ飯綱(いづな)の仕業だ、風鎌(かざかま)か鎌風(かまかぜ)の所為だ。アクゼンカゼが吹いたのだヤマミサキがやってきたんだ」
「堤馬風(だいばかぜ)なんて名前、風祝していても全然馴染みないですよ。よく里の人達知っていましたね」
「いやぁ、最近幻想郷縁起に限らず妖怪の書物が里で流行しているらしいですよ。貸本屋の小鈴さんも言ってました…………っと」
「この気配は」

 飛行中、私と文さんはほぼ同時に感知しました。
 既に何度か感じている犯人の受信片の存在を。

「そういえば今までは全て1度に2人襲われていましたが今度は」
「3つ、ですね。こちらは私と早苗さんで2人、不意打ちで制圧は無理かもしれませんね…………とりあえずこっそり近くへ行ってみましょうか」



 先ほど飛んでいた場所よりもさらに高空、雲の漂う高度では耳を劈くような音が鳴り続けていた。
 プリズムリバー三姉妹。
 幻想郷のお祭り好きなら誰もが名を知る騒霊の姉妹喧嘩がそこでは繰り広げられていた。

「あちゃー、これはまた厄介な…………」
「どうしましょうか?」

 雲の中に隠れながら様子をうかがい、私は文さんに相談しました。
 3人ともダメージを受けているとはいえアグレッシブであり、加減抜きの攻撃の威力は直撃すれば洒落にならなそうです。
 かと言って、知り合いが不本意な形で血で血を洗う戦いをしているのを放置するというのも寝覚めが悪いです。
 さらに言えば、元凶を追っている身としては時間をかける訳にも行きません。

「…………ひとつ、ひとつ危ない方法がありますが」

 そんな私の心を知ってか知らずか、文さんは私に一つの提案をしてくれました。

「安全を保証はできませんが、危ない橋を一緒に渡ってくれますか?」



 音は鳴り響くが言葉は発せられないという奇妙な戦いの中。
 リリカさんが私の隠れる雲に接近した瞬間に作戦は発動しました。
 まずは私がリリカさんの背後から急接近し彼女の左腿に埋められた金属片を引き抜く。
 当然のようにルナサさんとメルランさんがこちらに気づきます。
 その瞬間、雲からさらに上空に飛び出した文さんが真下に向かって最大級の力を使い直下に向かって風を操りました。
 それによって、音と密接に関わる彼女たちだからこそ生まれる隙が生じました。
 音があるはずなのに音が聞こえなくなるという違和感。
 音という振動を伝えるものの存在しない真空が生まれたのは確かに一瞬。
 その一瞬の隙に文さんはメルランさんに近づき左腕から金属片を抜き取りました。
 私はリリカさんを抱えたまま意識を失い落下するメルランさんを追い、文さんはまっすぐルナサさんへ飛びました。
 ルナサさんがもし私の方に目線を寄越していたら、その時点で決着がついたでしょう。
 しかしルナサさんはこちらを一瞥することもなく文さんの方を見、そして真空の終わった空に凶悪な音を鳴り響かせました。
 全方位への振動である音、文さんは避ける事が当然できませんでしたがそれにひるまず体当たりを敢行しました。
 そのまま縺れ合うように数秒落下して雲に突入してしまいました。

「文さん!」
「…………大丈夫、大丈夫ですよ」

 雲から出てきたのは、落下中にルナサさんのお尻から金属片を抜き、彼女をお姫様抱っこで抱えた文さんでした。
 先の攻撃のせいか、頬に切り傷ができていましたが、概ね無事である姿に私はほっと胸をなでおろしたのでした。



「すみませんでした、2人に近づくという危険な役のほうをやっていただきまして」
「いえいえ、やはりこういうのは頑丈さに定評のある妖怪の役回りですから」

 3人を抱えて地上まで降りてきましたが、今までとは異なり3人はすぐに目をさますことがありませんでした。
 ですが、里で補充した絆創膏を文さんに貼ってあげたり包帯を巻いたりしている間にルナサさんが目を覚ましてくれました。

「記憶はあるんだ…………ごめんなさい」
「いえいえ、悪いのは全て犯人ですから、お気になさらずに」

 開口一番謝罪をするルナサさんとそれを許す文さん。
 その後話を聞きましたが、姉妹で移動していたら急に襲われたという事で目新しい情報の話はありませんでした。
 しかし、代わりというべきか妙な点がありました。
 金属片を包む、名乗りの紙。
 そこには確かに今までと同じ名が書かれていましたが、その字は急にミミズがのたくったような金釘流になっていました。

「文さん、これは……」
「ふむ…………」

 とりあえずまだ意識のない2人はルナサさんが永遠亭まで連れいくということになり。
 私と文さんは謎を抱えたまま山への移動を再開したのでした。






            STAGE5 何もかも曖昧な世界

「もしかして、犯人も理性が蝕まれてきているのでしょうか」
「あぁ、なるほど。その可能性もありそうですね。ただ、同時に力も強まっているような気もするのが気になりますが…………」

 一旦守矢神社に戻るための帰路。
 私達は意見の交換を続けながら飛行していました。

「そういえば、そもそも私達が追っているのって鎌鼬なんでしょうか?」
「え?」
「犯人と目された鎌鼬は死んでいて、その模倣犯なんですよね?そして動機も不明となると、鎌鼬でない可能性もあるのかなぁと思いまして」
「そういえば、里でも何種類もの候補が挙がっていましたね。ヤマミサキとか」

 と、ここまで考えを進めたところで戦いの音が聞こえてきました。
 そしてもはやもう慣れた妖力の感覚。
 私達は顔を見合わせ、戦いの場へと進路を変更したのでした。



「…………」
「……………………」
「あの、文さん。どうぞツッコミ入れていいんですよ」
「いいですか? では僭越ながら私めが」

 文さんはすぅっと息を吸い込み、そして激流に身を任せ叫びました。

「何やってるんですか貴女は!!」

 隠れるつもりもないそのツッコミに、勿論相手は反応しました。
 火焔猫燐。地底の死体運び屋。彼女の耳には現在例の金属片と紙が刺さっています。
 それは、いいのです。問題はその相手です。確かに見覚えはあります。
 彼女と戦っているそれは、彼女の猫車でした。タイヤに金属片が刺さっています。
 ……はい。あの猫車がふよふよ浮いており、お燐はそれと戦っていたのです。
 正直、ネコがボールに戯れているようにしか見えませんでした。
 彼女は文さんに気づき、ねこまっしぐらに文さんに突進していきました。
 私に気づかず。
 そんなこんなで横を通る際あっさりブツを引き抜き、そしてプカプカ浮いている猫車からもさっくり金属片を引き抜くことができたのでした。



「いやぁそういえば今回の事件ってそもそも道具の付喪神化でしたね」
「えぇ、弾幕ごっこ無用なこの展開ですっかり忘れていましたけれどそうでしたねぇ」
 
 未だノビているお燐と完全沈黙した猫車の横で、私と文さんは並んで遠い目をしていました。

「無生物である道具と、生物というか妖怪である付喪神の境目が曖昧になってしまっているんでしょうか」
「そうですね、使われるだけの道具が自我を持つ妖怪となるのが今回の異変なのかもしれません」
「付喪神にも色々いますからねぇ。瀬戸大将、鰐口、琵琶牧々、琴古主」

 ため息混じりに、文さんは肩をすくめました。

「古来のものの他にも、例えばお祓い棒とかマジックアイテムとか死体を運ぶ猫車とか…………」
「…………?」
「死体ですよ!!」
「わっ!? 急に何ですか」






            STAGE6 弱かった者の大きな野望



      大丈夫。原因は分からないけれど今の私には力がある。
      最初は弱かったが、今の力ならば十分足りるであろう事は試せた。
      だから心配しないで安らかに…………

「やはり、意志を継ぐ者がいたという事ですね」

 不意にかけられた言葉に対し、彼女は墓前で祈りを捧げていたやわらかな表情を硬化させ、振り向いた。
 視線の先にいたものは鴉天狗、この山に住む新聞記者だった。

「”身弓穴 大可”。何処で見たのかをすっかり忘れていましたがようやく思い出したのですよ」

 天狗は片手に手帖、もう片手にシャープペンシルを持ち、墓前の妖怪少女を挑発するような言葉でしゃべりを続けた。

「その墓に、刻まれた名前だったんですよねぇ…………おや? 既に”身弓穴 大可”は死んでいますねぇ。となると貴女は誰なんでしょうか?」
「私が! 私が”身弓穴 大可”だ!! この大可(おおか)が事を起こしたのだ!!」
「貴女が鎌の欠片の金属片を被害者に埋め込み事件を起こした、と?」
「そうだ!」
「いいえ違いますね。事件を起こしたのは貴女でも、貴女は大可ではありません」
「……そんなことは貴様の妄想だ」
「実は私、少し前に人里で大可と名乗る鎌鼬の似顔絵を見ているんですよ…………似てませんよね」

 射命丸文は素早くバックステップした。直後、さっきまで立っていた場所が見えない何かでえぐられていた。

「殺す! そして永遠に口を噤め!!」
「嫌ですよー。ペンは言論弾圧なんかに負けませんから」

 言うが早いか、文は身を翻し山頂の方へと飛翔した。

「黙れ殺す!!」

 私が私でないことを新聞に公表されてはすべてが終わる。
 外套の上にハリネズミのようなの毛皮を纏った彼女は、両手に鎌を携え目には瞋怒を滾らせ文の後を追ったのだった。



 逃げる新聞記者は非常にすばしっこく、真空の刃はことごとく躱されてしまった。
 追撃をどれほど続けたか。
 凶暴化により薄れつつある知性では認識できなくなった頃、鬼ごっこは唐突に終幕を迎えた。
 逃げていた新聞記者が逃げるのを辞めたのである。
 追いつけたのであればこの鎌で仕留められる。
 そう判断し止まらず突貫したことが彼女の敗因となった。
 何が起こったのか判断をする間すら寸毫ほどもなく。
 二人は大量の水に飲み込まれたのだった。






「死体ですよ!!」
「わっ!? 急に何ですか」

 急に声を荒らげた文さんに私はびっくりしました。

「早苗さん覚えていますか、今日最初に出会った時話したお墓の話を」
「それは勿論覚えていますけれど…………」
「そのお墓に刻まれていた名前なんですよ、あの名前って」
「え?」

 今度は声量ではなく内容にびっくりさせられました。

「つまり、慧音さんが言っていた死んだ鎌鼬というのがあのお墓の主なのですか」
「えぇ。そして、彼女の進路を考えると、今あのお墓にいると思われます…………おそらく報告のために」
「人里、プリズムリバーさん達のいた場所、お燐のいた場所…………たしかに延長線上ですね」

 そして、犯人があの墓の関係者であるなら確かに墓前にいる可能性が高そうです。

「早苗さん、おそらく犯人は弾幕ごっこをしようとしない可能性が高いのです。なので搦手で行きたいのですが」
「わかりました。では何をすればいいのですか?」
「はい。まずはお燐さんを誰かに預けましょう。それから早苗さんの力を使ってやっていただきたいのは――」



 指示を受け、頼まれていた人物を呼び出し呪文を唱え待っていた場所に文さんと本名を知らぬ犯人がやって来ました。
 文さんが所定の位置まで来たため、私は呪文を止めました。
 『水面を割る奇跡を起こす呪文』を。
 奇跡が途絶えた水は元の形に戻ろうとし、本来湖の底であった場所に立っていた2人を一瞬で飲み込んだのでした。

 自分の力の性質上、風や空気についてはそれなりに知識があります。
 酸素が供給されなければ物は燃えない。真空とは、空気がない状態である。真空は断熱性能が高い。
 さて、真空が刃を生み出すにしろ風に細かい金属片を混ぜて切断を行っているにしてもそれは風を、空気を操ってのことである。
 言い換えれば、最初から真空あるいは水中などの空気のない状況ではそれらは役に立たない能力といえるでしょう。
 文さんはそれを利用し、犯人の無力化を企んだのです。

「やぁ、ナイスタイミングでしたよ」

 そう言いながら、文さんが水面から顔を出しました。

「犯人は?」
「水中で、あらかじめスタンバっていてもらったにとりがより深き場所に引きずり込んでいくのが見えましたよ」
「そうですか」
「河童以上の水中活動能力がない限り、まぁ完全に無力化されているでしょうね」
「にとりさんには、ちゃんと鎌が危ないということは伝えてありますので…………え?」
「あれ?」

 噂をすれば影、という訳ではないでしょうけれど、文に続いて湖面から顔を出したのは当のにとりさんでした。

「犯人は?」
「いや、ね、早苗さん。鎌に気をつけて引きずりこんだまでは良かったんだけれど」

 本人も状況がよくわからないという風ににとりさんは私と文さんに言葉をつなげました。

「急に窒息とは違うような苦しみ方したと思ったら、鎌だけ残して溶けるように消えちゃったんだよね」
「はい?」

 そういって、にとりさんはすまなそうに鎌を私達に手渡したのでした。









            EXTRA STAGE 世界内存在に残された痕跡



「ようやく見えてきましたよ、あの時の事件の真相が」

 結局霊夢さんが逆さのお城で小人を倒し、さらに雲の中で太鼓を倒したという報道から数日後。
 文さんが神社にやってきて私の知りたい言葉を述べてくれました。

「ありがとうございます文さん」
「ただし、取材と推測を重ねあわせて一番正解だろうという予測なのですが」
「いえ、それは仕方ないと思います」

 私は客間に文さんを案内し、お茶とお茶菓子を用意して座布団の上に座りました。
 そして、違う可能性もある、と前置きした上で文さんは解説を始めてくれました。

「まず彼女の正体ですが、小槌の魔力で強化・凶暴化を受けた付喪神の一種である野鎌(のがま)だったのだと思われます」
「野鎌?」
「古くなり打ち捨てられた鎌の付喪神です。能力は鎌鼬に近いですね。元の持ち主は…………」
「あの、墓の主のカマイタチ」
「ご明察です」

 なるほど、つまり彼女も大元は打ち出の小槌の魔力に中てられた道具の一つだったのですね。

「だからあの時、おそらく打ち出の小槌の魔力が回収期に入ったため…………」
「元の鎌に戻ってしまったのですね。たまたまか、あるいはより強い力を求めてしまった故の代償か九十九さんたちより多く魔力を吸われて」
「えぇ、妖怪から小道具に戻されてしまうほど魔力を吸われてああなってしまったのだと思います」

 そこまで語り、一区切りとして文さんは一口お茶を飲み、そして呼吸を整えた後続きを教えてくれました。

「そして彼女の、持ち主の方の望みですがこれはやはり名を挙げることだったようです。具体的には、幻想郷縁起に大きく載るくらいに」
「有名に?」
「妖怪の本懐として、より多くの人間に恐れられるためにそうなりたがっていた、と墓を建てた知り合いから直接聞いてきましたので間違いはないかと」
「それは間違いなさそうですね」
「ちなみに、今回の件は稗田阿求さんも知るところですが、幻想郷縁起にどう編纂されるか或いは載らないかは未定ということです」

 ふむ、妖怪にとっては人間には計り知れない深さを持つ理由のようですね。

「ただ…………これは裏付けのない完全な私の所感なのですが、野鎌の手にした能力を考えると襲撃には私怨もあったように思えます」
「私怨?」
「仲の良いもの同士に心なき争いをもたらす『絆を絶ち切る程度の能力』、これは彼女自身が絆を失ったことに対する嫉妬の表れのような気がするんですよね」
「なるほど、自分が自分でなくなってまでも願いを叶えようとした主人は既にいない。故に、誰かとの絆のあるものが許せずそれを破壊しようとした、と」
「あくまで、私の感想ですけどね」

 妖怪同士の友情の絆、バンド仲間の絆、人と妖怪との絆、姉妹の絆、道具と使用者の絆。
 確かになにもかも彼女にとっては許せないものだったのかもしれない。
 だからといってその行動は許されるものではないが。
 …………と、ここまで考えてふと思い至ったことがある。

「そういえば文さん」
「なんでしょうか?」
「私と文さんの関係ってどんな絆なんですかね?」
「あやややややややや!?」

 今回の事件、文さんは何度も私を助けてくれましたね。
 そして今回も、新聞記事を作るよりも早く私に教えるためだけにここに来てくれている。

「あ、えっと、その、それはですね?」

 これは、好意を持たれていると自惚れてもいいのでしょうか?
 目の前で真っ赤になってあたふたしている文さんを見ながら。
 私は、この絆の名前は自分でつけるのではなく、文さんにつけて欲しいなとこっそり目論んだのだった。
よ……妖怪にだって友情はあるんだーっ!!

絆→切断→網剪と連想した後、ネタはないかと画図百鬼夜行全画集 (鳥山石燕/角川文庫ソフィア) を読んでいたら、隣のページにいた窮奇(かまいたち)が目に止まりこうなりました。



STAGE1~5に登場したキャラたちが、それぞれ元のゲームで何面に登場したか一考いただければ幸いです。
K.M
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コメント



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1.2みすゞ削除
プロットのままを読んだような印象。もう少しゆっくり読みたかったです。ただ内容そのものは興味深く面白かったです。
2.4ナルスフ削除
輝針城に参戦しなかった早苗さん。逆さ城異変の裏側で彼女は彼女なりに奔走していたのかもしれない。その発想はとても面白かったです。
けど、いまいちこのお話に入り込めなかったというか。
あまり起伏がなく、淡々と進行している感じが否めないんですよね。
最終的にいきなり名前が出てきた『絆を絶ち切る程度の能力』。それを思わせるには、各ステージのエピソードはちょっとボリュームが足らなかったなぁと。
プリバ三姉妹やお燐に至っては、特に仲直りのシーンがあるわけでもなく、もう出てきて暴れて倒されたってだけですからね。
ラスボスである野鎌も、亡き主への忠誠を思わせるようなカッコいい台詞の一つでもあればよかったんですが、この人もなんかよくわからんうちに退場してしまいましたし。
オチとしても、今までそんなそぶりなかったくせに、急に百合っぽくなって終了。なんかもう、邪推かもしれませんが、時間に追われて苦し紛れにまとめた感じがします。
ストーリーライン自体の発想はとても面白かったんですけどね。ちょっと調理をまずったんじゃないかなという。
もうちょっと生き生きとした話として見てみたかった。

あとがきの『STAGE1~5に登場したキャラ~』についても、考えてみたんですがよくわかりませんでした。
チルノ(と妹紅)だけ、元のゲームと違うステージに出てるのはわかったんですが、それが一体何なのだろう。
3.5u!冫ldwnd削除
テンポよく読めましたし、掛け合いもストーリーも楽しめる物でしたが、同時に次があっさりと示され、最後まであっさりとと進んでいく様にはやや物足りない感じもあったかもしれません。
4.4がま口削除
カマイタチの鎌が付喪神になって、カマイタチっぽく襲うというひとひねりが技能賞ですね。
亡き主人への思いを背負って動き回るなんて、健気じゃないですか。斬られる方はたまったもんじゃないけど……
5.6烏口泣鳴削除
形容しづらいのですが、妙な雰囲気の良さがあって素敵でした。
早苗と文のやりとりに癒やされました。
6.3めるめるめるめ削除
 書くべきことが書かれていないといった印象。普通に読んでいただけではよくわからず、不
思議に思うところがありました。(切られた傷に金属片はいいとしても、包み紙はどこから出てき
たんだろうと、思わず読み直してしまいました)
 話を先に進めることばかり優先して、味気ない感じです。
7.6うるめ削除
バックグラウンド、楽しませていただきました。個人的には、幻想郷の異変物語なのであれば、やっぱり弾幕勝負で決着してほしかった……。
8.6あめの削除
おお! タイトルの通り輝針城の異変の裏側で起こった事件を文と早苗が解決するという単純明快なストーリーでしたが、原作と同じようにステージ方式で進めて行くのが良かったです。事件の真相にどのくらい近づいているのかわかりやすくて良いですね。
内容の方はさっぱりとしている印象ですが、お話の中にある「謎」が結構面白いのでさくさく読み進められました。シンプルに纏まっていてとても面白かったです。なによりあややが可愛い。
9.4名前がない程度の能力削除
外患は時として内憂を解消し、加えて新たな団結(あやさな)を生み出すこともある。皮肉かな。

STG構成のスタイルのため、どうにも謎解きや主犯の動機が薄味になりすぎていたように思われます。
納得は得られても共感にまでは至らない、とでも言うのか。
10.5文鎮削除
謎解きのヒントになるシーンとはいえ、猫車と争うお燐で吹いてしまいました。
原作をプレイしているように進んでいく物語や、輝針城異変の影響で野鎌が暴れだした設定などが面白かったです。
ただ、その野鎌とかまいたちの過去や、早苗と文自身の絆が野鎌によって断ち切られてしまうとどうなるのか、
などもっと見てみたい部分もありました。
11.無評価K.M削除
この度は私の作品をお読みいただきありがとうございます。
内容の発想に至る過程は後書きに書いたとおりなのですが、元々はもう少し人数少なくシンプルにまとめるつもりでした。
しかしその後、「単に裏で戦いがあるだけじゃなく、原作と同じステージ仕立てにした方が面白いのでは」と考えてしまったのが運の尽きでした。
突貫工事をしたものの、完全に必要な時間を見誤り、深く内容を練り直す時間が足りなくなってしまいました。
その点に関しては皆様にお詫び申し上げたいです。投稿時間制限のある中で、遅くに思いついたネタはあまりにも危険でした。

あまりこういうのを書くと、せっかく読み評価を下さったに失礼と思いますのでこのへんで。
それではレス返しをさせていただきます。



>みすゞさん
その点についてはまったくもって申し訳ない。
締め切り直前にこの分量を書き上げるのが精一杯だったため淡々と進んだようになってしまいました。

>ナルスフさん
邪推ではなく名推理です、すみません。
出会った後に(理由つけてですが)ついていく、危ない方の役割をするあたりでそれとなく好意を描写したつもりでしたがダメでしたか。

そして最後の点ですが。紅魔郷1面・輝針城1面、永夜抄2面・神霊廟2面、永夜抄3面、妖々夢4面、地霊殿5面。
ただ単に操られていたのが元と同じステージという事です。こちらもあまり深くなくて申し訳ない。
(風神録と星蓮船は早苗さんと文さんが特別枠として担当)

>u!冫ldwndさん
起伏に欠けていますかね、すみません。

>がま口さん
アイデアを褒めていただきありがとうございます。まさしく通り魔、被害者に落ち度はないですからね。

>烏口泣鳴さん
主人公コンビは仲良しには書けたようなので、少しホッとしています。

>めるめるめるめさん
紙は、単に名前を残すためのもので正直深い意味はありません。
受信機たる金属片に直接書くのは大きさ的に問題ありそうだというだけでした。
そうか、そのあたりも描写が必要でしたか…………すみません。

>うるめさん
凶暴化により弾幕ごっこができない、という建前ですが、作者の都合では「スペカ使ったりの弾幕ごっこは時間内に書けそうにない」というマイナスの打算があったりするのです。
ごめんなさい。

>あめのさん
謎とその真相は後の思いつきで影響を受けたのではない元々の部分であり、十分な時間かけて考えたので、上手く構成できたようでよかったです。

>名前がない程度の能力さん
納得は得られても共感にまでは至らない…………重く受け止めさせていただきます。時間があって描写を増やせてもできたかどうか疑わしくもありますので。

>文鎮さん
前者はネタバレにならないように書くのが難しそうですね。
後者は、正体・ネタが割れている以上あっさり決着と最初期に考えていたため発想自体がありませんでした。
なるほどそれはあってしかるべきだったかも…………申し訳ない。



追伸:突貫工事のせいで、色々と思いついた点を(入れる・入れないの吟味をするのではなく)忘れてしまうなど、やらかしてしまった感は否めません。
時間には甘い見通しだった過去の自分をぶん殴りたいです。
・どこかで文に野鎌に対して「風を操る能力の扱いは、自分の方に一日の長がある」のようなことを言わせたかった
・どこかに天狗風や野分という言葉を使いたかった
・鎌鼬は3匹1セットという説もあるネタや、幽谷響(画図百鬼夜行全画集における、「やまびこ」の表記)を作中に紛れ込ませたかった
それでも、コンペ期間内で仕上げることができたのがこの形です。
重ねてになりますが、皆様有難うございました。